エアスピネルとリオンディーズが弥生賞で再び激突!2頭の力関係をどう見るか

今年の牡馬クラシック戦線は、超ハイレベルだともっぱらの評判だ。

夏の新潟2歳ステークス(G3)を桁違いの末脚で勝ったロードクエストを皮切りに、秋になって、そのロードクエストを、年末のホープフルステークス(G2)で破ったハートレー、その他にも、サトノダイヤモンド、マカヒキなど、通常の年であれば、どの馬も主役級を張れる逸材だが、その中で、3月6日に開催される、弥生賞(G2)での2頭の再戦が現在ファンの間でも注目を集めている。エアスピネルとリオンディーズだ。

この2頭、年末の2歳王者決定戦である、朝日杯FS(G1)で他馬を突き放してのデッドヒートを演じた、今年のクラシック候補生である。力関係はどうなんだ?この2頭は、どっちが強いんだ?など、様々なところで議論されている。競馬は、この議論をする瞬間も楽しみのひとつである。自分が予想した通りにハマった時の気持ちよさは最高のものでもあり「オレって天才?」と、勘違いする瞬間でもあるのだ。

話はそれたが、この2頭の力関係。成績的にも、個人的にも、現時点ではリオンディーズが一枚上手と見る。リオンディーズの場合は、朝日杯FSが2戦目であり、レース史上初の、1戦1勝馬の優勝であった。

デビュー戦の内容は決して褒められたものではない。スタートして、すぐにガツンと引っ掛かり、鞍上の岩田騎手が懸命になだめていた。新馬戦特有の超スローペースの中、折り合うことなく直線へ。この直線で、リオンディーズは解放されたかのような目の覚める末脚を繰り出して楽々とデビュー戦を勝利で飾った。続く2戦目が前述の朝日杯であり、このレースには、武豊騎手鞍上のエアスピネルという素質馬がいた。

エアスピネルの母は、秋華賞(G1)勝ちのあるエアメサイア。リオンディーズの母であるシーザリオにオークス(G1)で2着に敗れた馬である。そう、この2頭の母が同期でクラシック戦線を沸かせたことも、ファンがこの2頭の力関係に興味を持つ理由のひとつである。

エアスピネルも朝日杯前の、デイリー杯2歳ステークス(G2)では、豊かなスピードを生かして3馬身半の快勝でこの大舞台に臨んでいた。レースのほうは、大方の予想通り、エアスピネルが前目に取り付いて、直線はいつでも抜け出せるぞという位置取り。

リオンディーズは、鞍上のデムーロ騎手が、恐らく折り合いだけに専念していたのだろう。スタートもあまり良くなかったが、道中は後方から2頭目でレースを進めた。この日のリオンディーズは前走とは別馬のように折り合いがついていたのが、非常に印象に残った。これだけ折り合ったら直線怖いなと思って見ていたら、案の定、直線で爆発的な末脚を繰り出して、エアスピネルをゴール寸前で差しきった。

武豊騎手のG1完全制覇を打ち砕いたデムーロ騎手が、しきりに武騎手に謝っていたのが印象的だった。リオンディーズに敗れたとはいえ、エアスピネルも3着馬を4馬身突き放している。しっかりと不利もなく自分の力を出し切っている。阪神の外回りコースのマイル戦ではリオンディーズが強すぎた。

このレースの後、各陣営は、春初戦は弥生賞からというのが発表された。エアスピネルがリオンディーズにリベンジするとしたら、恐らくこの条件しかないだろう。中山2000メートルは、小回りコースのため直線も短い。レースが非常に上手なエアスピネルであれば、前目に付けて、短い直線を生かして粘り込むしか道はないのではないだろうか。

逆にリオンディーズの場合は、ムリに良いポジションを取ろうとするとデビュー戦のようにガツンといってしまう可能性もあるため、器用さが要求される中山コースでは一枚割引の感じがする。エアスピネルの場合は優等生、リオンディーズは破天荒でやんちゃ坊主のイメージがある。

ハマった時の爆発力、絶対能力はリオンディーズが一枚上手であるが、この馬にとっては、クラシック一冠目の皐月賞(G1)が一番危ない気がする。逆にエアスピネルがクラシックを勝つなら、紛れが生じるこの舞台しかないだろう。まずは、弥生賞のレースぶりに注目だ。

しかし、今年のクラシック戦線は、何度も言うように超ハイレベル。この2頭に割ってはいる馬がいる可能性も非常に高い。桜が咲く季節を今からワクワクしながら待ちたいと思う。