【フィリーズレビュー2016回顧】実力?好騎乗?伏兵ソルヴェイグ桜花賞への切符獲得

上位3着にまで、桜花賞(G1)への優先出走権が与えられるフィリーズレビュー(G2)が日曜日の阪神競馬場で行われた。

この日の阪神の馬場状態は良馬場。とはいえ先週までと違い、時計がいくらかかかるコンディションだったから、勝ちタイムの1:22.1はあまり気にする必要もないだろう。

前半600メートル・35.0、800メートル・47.2という道中のラップタイム。前日に行われた、同距離・同コースの、山陽特別(4歳以上1000万下)の序盤のラップは、600メートル・33.8、800メートル・45.6だから、前にいた集団にはしてやったりの展開になった。

1着・ソルヴェイグは、この日はゲートをスムーズに出ると、しっかりと折り合いをつけて、インコースの3番手で競馬をした。緩いペースだったから、折り合いさえつけば、後は直線で抜け出すだけだったが、見事にハマった。

内枠ということもあり、外を回るグループと違い、距離ロスがなかったのも大きかった。ピッタリ1400メートル走りましたという競馬。

鞍上の川田騎手は土曜日にサトノノブレスで中日新聞杯(G3)を勝利して2日連続の重賞制覇。2つとも先行抜け出しの競馬で快勝しており、ジョッキーの勢いも勝因のひとつだろう。

近親に高松宮記念(G1)3着のソルジャーズソングや京王杯スプリングカップ(G2)3着などの実績があるエールブリーズがいる。短いところ向けの血統も吉とでた。本番は距離が200メートル延長され、ペースも厳しくなることが予想される。

ソルヴェイグにとっては、まだまだ厳しい山が待っているが、ひとまず、この日に関しては、ペースが向いたとはいえ、2着以下に1馬身以上の差をつけて勝ったから今回のメンバーでは力は上位ということだろう。折り合いもしっかりとついているのは距離が延びた時にはプラスに出る。おそらく本番桜花賞になるであろう次走も注目。

2着・アットザシーサイドは、道中9番手前後を追走。スタート直後に鞍上の福永祐一騎手が押していたぐらいだから、本当はもう少し前で競馬をしたかったのかもしれない。道中の折り合いも問題なし。

直線に入ってエンジンがかかるまで時間を要したが、坂を上がってからの末脚は期待通り。位置取りを考えると負けて強しの内容である。阪神JF(G1)以来の競馬で叩いた次走に期待。

3着・キャンディバローズは、ペース判断に長けているベテラン・武豊騎手だから、道中、楽に走ることができた。直線も最後まで粘っており、自分の力は出しきっている。距離・ペースなどの条件が整えば、これぐらいの見せ場は作れる馬である。今後も注目。

4着・ダイアナヘイローは、2着のアットザシーサイドよりも道中は後方の位置取り。直線は大外に持ち出して、最後までしっかりと伸びていた。この馬は、この日の競馬が3戦目。前走はエルフィンステークス(3歳牝OP)で2着。

デビュー戦は逃げて1着、2戦目は2番手からの競馬で2着で、今回は、後方12番手からの競馬。割と自在性があるのが、この馬の長所かもしれない。父・キングヘイローに、母父・グラスワンダーという血統。

キングヘイローの代表産駒の1頭にオークス(G1)や秋華賞(G1)勝ちなどがある、カワカミプリンセスがいる。母父・グラスワンダーはロベルト系であり、底力や豊富なスタミナを確かに伝える。現役馬では、オークスなどG1を3勝しているメイショウマンボが母父グラスワンダーである。メイショウマンボも、フィリーズレビュー1着後に、桜花賞惨敗、オークス制覇という成績が残っている。ダイアナヘイローもフィリーズレビューを4着に好走した。

1勝馬であり、桜花賞への道は厳しくなったが、2冠目のオークスに向けて準備を進めるべきだろう。キャリアの少なさ、血統背景からして、まだまだ成長しそうな感じである。次走は特に注目したい1頭。

3番人気に支持された、ナタリーバローズは16着。2戦1勝2着1回の素質馬であり、注目していたが、この日はシンガリに近い16番手からの競馬で展開も向かなかった。3コーナーで他の馬と接触したのも響いたのかもしれない。もう一度、見てみたい馬。

この日、敗れた組は、今後はオークス戦線へと舵を切り替えることになる。距離が延びればという馬もいるだろうから、一生に一度のクラシックに向けて全力で戦っていってほしいものである。