【日本ダービー予想2017】福永騎手の”メンタル”がダービー制覇のカギを握っている?

現役時代「天才」と呼ばれた元騎手の福永洋一を父に持つ福永祐一騎手。'96年にデビューしてから今年で22年目、福永も40歳となった。ダービーに初挑戦したのはデビュー3年目の'98年。自身がキャリア初の重賞勝利を上げたキングヘイローで挑戦するが、2番人気の期待を裏切る14着に敗れ、ほろ苦いダービーデビューとなった。

以来17回もダービーに挑戦してきたが、アサクサキングスとエピファネイアの2着が最高着順。若き頃に惨敗し、20年近く経った今もなおその雪辱を果たせずにいる。福永にとってこのダービー制覇という目標は、騎手人生において1つの越えられない壁となっているわけだ。

実際にデータを集計したわけではないが、福永祐一という騎手は大きなレースで人気馬に乗ると勝てないというイメージがファンの間で非常に強く根付いている印象がある。個人的にもこれは納得するところがあり、正直アタマでは予想しづらい騎手ではある。

ただ、馬券圏内には持ってくる事が多いので馬券的にはお世話になることが多いのも事実。大きなレースでは買いづらいが、そこまでのレースでプレッシャーの少ない時は本当にいい仕事をする。ある程度妙味のある馬を持ってくることも多いので、逆に買い時さえ掴めれば買いやすい騎手なのだ。

福永騎手の”メンタル”がダービー制覇のカギを握っている?

さて、今年のダービーだが、日本の競馬界を代表する伝統的なビッグレースで、プレッシャーを感じない騎手などおそらく1人もいないだろう。福永ももちろんプレッシャーは感じているだろうし、喉から手が出るほどほしいダービージョッキーの称号がかかっている。普段のレースとは明らかに心持ちの違いがあるだろう。

ただ、これまで長きに渡って福永のダービー挑戦を見てきたが、今年の福永はこれまでで一番ダービー制覇を果たせる可能性が高いと、筆者は強く感じている。

データ的な根拠、競走馬が強いからという確たる根拠をもとに断言しているわけではなく、こう言うと真面目に予想しているファンには呆れられるかもしれないが、今年はなんというか、全てが丁度いいのだ。

何が丁度いいのかを説明していこう。今年の乗り馬は弥生賞1着、皐月賞9着でダービーへ挑むカデナだ。弥生賞を勝っているが、前走の皐月賞の負けで評価を下げるファンも多そうだし、おそらく人気的には7~8番人気あたりといったところだろうか。この人気はまさに丁度いい。弥生賞馬がここまで人気を落としてマークが薄くなるのは珍しいし、福永にとってもプレッシャーはかなり少なく済むだろう。ダービーというだけでかなり力が入ってしまう福永にとっては、これくらいの人気で肩の力が少し抜けるくらいが丁度よい。

実力がしっかりと結果に出るダービーというレースで騎手の精神面を挙げるのはお門違いと言われるかもしれないが、これまで精神面な部分が原因で実力のある馬を取りこぼしてきた福永にとって、精神的な状態というのはこと福永にとっては馬の実力以上に重要視する必要があるとも筆者は思っている。

「彼は自信満々のビッグマウスのわりに、レースになった途端に消極的になる。ダービーなんかとくにね。98年のダービーで2番人気のキングヘイローに騎乗した時は極度の緊張のせいで14着に沈んだけど、これがトラウマ的なレースになってる。その呪縛からまだ逃れられてないわけだけど、もう20年近くたってるし、叩かれ続けて図太くもなってきてるよ(笑)今年は気軽に乗れそうだし、うまくいったら勝つんじゃないかな?」(記者)

知り合いの記者がこう言っていたが、個人的にも気軽に乗れそうな今年こそ良いパフォーマンスが発揮できるんじゃないかなと思っている。

皐月賞9着のカデナの評価

さらに、今回のカデナという馬の実力も丁度よい。前走の皐月賞はペースが速かったので甘くなった可能性があり、2400mに伸びるなら今回は楽に運べる可能性が高い。7枠13番という枠も差し馬のこの馬にとっては丁度よく、内すぎると包まれるし、これ以上外でも内目を取れない。絶好枠に入ったと言っていいだろう。

脚質的には使える脚は極端で、後方でじっくり脚を溜めて末脚に賭ける競馬が向いている馬。福永のスタイルからしても後方気味の競馬となりそうだが、枠順的にはスムーズに追走できそうな位置。末脚を出し切る競馬に徹してもらいたい。展開やペースによるところは大きいが、トップスピードの質はここでも勝てるレベルにあると思っている。

まぁ、異論や反論はあると思うが可能性は否定できないと思うし、今春のG1シーズンは波乱続きで改めて競馬が何があってもおかしくないということを認識させられている。G1で、しかもダービーで福永の馬を推すのは少々勇気がいるが、適度な緊張感とリラックス感で挑めそうな点や、条件的には好材料の多い馬が過小評価されている点などからも、軸としてはもちろん、今回はアタマでも買ってもいいと思っている。ダービージョッキーという称号を手にした福永の姿がなぜか頭にチラつく今年のダービー。デビューから22年目の40歳、18回目の挑戦でついに悲願のダービー制覇を果たすのか?今から楽しみで仕方がない。