香港もスルー?どうするニッポン!

12月の風物詩といえば「ジャパンカップをスルーして香港へ」
悲しいかな、外国馬のトレンドでした。

なぜ過去形で「でした」と書いたかというと、有力な外国馬陣営はひょっとしたらアジア地区への遠征を嫌がり始めているのではないか、という危惧があるからです。ナイトレース、かつ高額賞金で盛り上がったシンガポール国際カップも、さまざまな国籍の馬の参戦で長年愛されていたレースでしたが、結局廃止となりました。

そしてとうとう、ジャパンカップも香港もスルーするという事態が昨年起きてしまいました。
欧州、アメリカ、オセアニア地域の有力どころが昨年の香港カップ・ヴァーズ・マイル・スプリントで果たしてどれだけ参戦していたかを見るとわかります。

レーティング上位で堂々たる王者として参戦していたのは香港ヴァーズでサトノクラウンが撃破したハイランドリールのみ。特に短距離が顕著ですが、マイル、スプリントはほぼ香港馬対日本馬という構図になっていました。カップはモーリス、エイシンヒカリの香港巧者と思える2頭が出ていたことも多少は影響するのでしょうが、世界の潮流・主流ともいえる芝2000m、芝1600mでここまで欧州からの有力どころの参戦がないというのは異常ではないでしょうか。

賞金は香港、日本とも欧州以上のものをすでに用意しているといえます。舞台はシャティン、東京競馬場とも直線も長くトリッキーなわけでもないので、嫌われる要素とも思えません。ローテーションでみれば、アメリカでのブリーダーズカップが11月開催にあるので日程が厳しいという意見もありますが、それは今に始まった話でもありません。

たまたま昨年はめぐり合わせで日本も香港も参戦が少なかっただけ、と割り切れればいいのですが、JRAとしてもここまでフラれ続けている以上、賞金以外で考えなければいけない壁があるのではないでしょうか。一度やったら歯止めがなくなる危険性もありますが、「検疫をゆるめる」という手段が効果的に思えます。日本の検疫がとりわけ厳しいということではありませんが、見向きもされない現状を打破するキッカケにはなりえるでしょう。

検疫体制の変化はJRAの一存ではなく法整備も必要になる大きな施策となります。何もなければ今年もまた招待競争とは名ばかりの日本馬だらけのレースになるでしょう。はたまたJRAの英断があるのか、注目してみたいと考えています。