【追憶の名馬面】ナリタブライアン

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※馬齢表記は、現行の表記を使用しています。

「友情、愛情、ケイバ場!」とキャッチコピーを銘打ち、開幕した2017年の中央競馬。若者達が、思い思いの過ごし方で競馬を楽しむフレッシュなイメージ像を見て、自ら好んで逸れた道を驀進する私は、例の如く捻くれてしまった。

このキャンペーン戦略の様に、かつてアングラな娯楽だった競馬は、平成になってガラリと様相が変わった。オグリさんと若き日の武豊がその幕を開けて以降、競馬場に溢れる声は濁声から黄色い声援に変化し、「誰でも気兼ねなく楽しめる娯楽」という大衆レジャーの地位を確立している。

しかし、そんな新しい時代が到来した平成の競馬に、唯一、欠けていたピースがあった。

三冠馬

1941年、セントライトから始まり、シンザン、ミスターシービー、シンボリルドルフと、昭和期には4頭の三冠馬が誕生している。私は、当時、この世に生まれるかどうか分からない身分だったので、あくまでも空想だが、この4頭の周りにはアングラな雰囲気はなかったと思う。つまり、今と同じ、万人が一頭の優駿に歓声を送る光景が昭和期にもあった。と考える。

オグリさんとユタカくん、マックやテイオーが精一杯盛り上げても、三冠馬が存在する。という狂乱は無い。皐月賞、ダービー、菊花賞。この3つのレースを、誰も敵わない強さで制覇する駿馬が出なければ、前時代の人々には認められないのだ。

そんな、完全に時代を変えよう。と躍起になって頑張る平成の日本競馬界に1994年、一頭の怪物が現れた。

ナリタブライアン。

如何にも牡馬らしい雄大な黒鹿毛の馬体を有していたにもかかわらず、鼻上にシャドーロールを装着していたブライアン。今日は彼の足跡を辿ってみたい。