ラガーレグルスゲート再審査事件に思う管理運営

ラガーレグルスは、2000年のクラシック有力ホースだった。ここでだったと書かなければいけないのが、なんとも寂しい。ラガーレグルスは1つの大きな問題を抱えていた。それは慢性的なゲート出遅れである。完全にゲートの出遅れが癖になってしまっており、3番人気で迎えた皐月賞では、ゲートから出ず、競走中止。ラガーレグルス絡みの馬券は約60億円に上った。一瞬にして紙くずになって消えたのである。賞金的にダービーは出走可能だったが調教再審査が命じられ調教再審査(ゲート試験)が行われる事になった。

場所は、4月下旬の東京競馬場。全レース終了後に行われた。しかし、繊細な心のラガーレグルスに気が付いた競馬ファンは柵を叩いたり、蹴ったりの悪乗りをして、ゲート試験を妨害した。向こう正面で行えばよかったが、次のレースは日本ダービー。スタンド前でするしかなかった。何度やってもゲートを出ない。もう途中からはゲート試験ではなくなっていた。

悪乗りした競馬ファンによってラガーレグルスはゲート試験に落ち、ダービー出走が幻になったのだ。何とも後味の悪い結末になってしまったが、主戦騎手の佐藤哲三は怒りが収まらなかった。ラガーレグルスから降りると、柵の方に歩いて行き、あわや乱闘寸前になったが、職員に制しされて何とか、最悪の事態は免れた。

ダービーと言うのはホースマンに取っては特別のレースである。ラガーレグルスは、皐月賞は競馬に全く参加できなかった。この鬱憤を何とか日本ダービーで晴らそうと挑んだゲート再審査で思わぬ横やりが入ってしまった。結局ラガーレグルスはその後、故障を発症し、引退種牡馬になった。

ラガーレグルスの末脚は一級品だった。ダービーに出走していても、ゲートさえ決まれば十分勝ち負けになった馬である非常に勿体ない。勿体ないと言うよりも、ゲート再審査を妨害した人たちは何もお咎めなしと言うのもおかしい。出入り禁止にしてもいい程の悪質極まりない行為である。この様にして名馬が競馬場から消えたのは残念な限りである。