藤田菜七子、親や親戚のコネは一切ナシ、”騎手としての腕ひとつ”のみで挑む

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男社会の競馬界に16年ぶりに一輪の花が咲いた。今月3日の川崎競馬で、かねてより注目されていた藤田菜七子(18)が女性のプロ騎手としてデビューを果たした。藤田騎手は競馬学校時代から唯一の女性の騎手課程として注目されており、デビュー前から話題を集めていた。確かに話題性はあるが、それでも新人騎手は新人騎手。所属する根本厩舎にはすでに丸山元気騎手と昨年デビューした野中悠太郎騎手の2人が在籍しており、2年連続で新人騎手を招き入れた根本厩舎は中小厩舎としてはかなり頑張ったのではないだろうか。

華やかなデビューも今後は険しい道のり。親や親戚のコネは一切ナシ、”騎手としての腕ひとつ”で勝負していくこと

騎手も騎手で大変である。野中騎手は福岡出身にもかかわらず美浦所属、さらに競馬界には縁があるわけでもない。騎手としての腕一つでやっていくしかないのだ。「騎手としての腕ひとつで勝負していくこと」本来それはプロ騎手として当たり前なことのだが、日本の競馬界は親や親戚のコネクションが騎乗依頼に大きく影響している。野中騎手と同じく藤田騎手にも縁やコネは一切ない。さらに男性社会の中でやっていくことの難しさも考えれば道はさらに険しいものだろう。騎手が増えて自厩舎の乗馬も分散され、まわってくる馬に強い馬を見込めるはずもない。16年ぶりの女性騎手だと世間では盛り上がっているかもしれないが、彼女が今後歩む道は決して生ぬるいものではないだろう。

それでも川崎でのデビューは決して悪い内容ではなかった。初日の5Rでは4番人気のミスターナインワンを2着にもってきて、12Rでは4番人気のポッドライジングで3着に入着した。32期生の中で初日に連対を果たしたのは矢作厩舎の坂井瑠星騎手と藤田菜七子騎手の2人だけである。5日には中山で中央デビューを果たし、この日も2着を一回取っており順調な滑り出しをしている。今月15日には高知競馬の「はりまや盃」に出走する予定となっており、すでに地方競馬で女性ジョッキーとしてデビューしている別府真衣騎手とのカードが期待されている。

なんでも「若いころはドサ回り」とは良く言うが、騎手不足という懸念も抱える地方競馬にとっては、話題性もあり売上にも大きく貢献してくれそうな女性騎手の藤田騎手は大歓迎であろう。藤田騎手には地方での経験や様々な逆境を糧にして騎手の技術を磨いてもらい、今後日本の女性騎手として初の重賞制覇やG1制覇などにも期待していきたいと思う。