【スプリンターズS予想2016】”逃げる馬”はやはりこの馬しかいない

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今週末の中山メインは久しぶりのG1レース、秋の短距離王者決定戦「スプリンターズステークス」が開催される。絶対王者ロードカナロアが引退以降、日本の短距離界は主役が出てこないなぁ…なんて思っていたが、今年のスプリンターズSは中々の猛者が揃っているではないか。しかも今年はきりの良い第50回目のレース。面白いレースを期待したい。

前走逃げ切りVのビッグアーサー、難しい次の一手…

なんと言っても高松宮記念をレコードVで制したビッグアーサーが今回最大の目玉だろう。前走休み明けのセントウルSではこれまで見せたことがなかった逃げ切りでの完勝。こんな競馬もできるのかと関心したもので、本番はどう走るのかが非常に楽しみな一頭だ。

とは言えここへ来て逃げたレースを見せたことに不安を抱くファンもいるだろう。「逃げたレースの次は難しい」と競馬関係者はよく口にするが、これは逃げたことで揉まれずにレースができたことを馬が学習し、次もスタートから逃げにいってしまうという馬の学習能力の高さが逆に仇となって起こってしまう事例からよく言われるようになった言葉である。

国内最大級の競馬ポータルサイト「netkeiba.com」で福永祐一騎手が連載するコラム『祐言実行』ではこの不安について福永騎手自身が以下のように言及している。

「2歳や3歳ならそれもわかるし、自分も競馬を教える段階にある馬を簡単に逃がしたりしない。しかし、ビッグアーサーは5歳。一度逃げたくらいで、それまでにやってきたことが無駄になるようなことはないというのが自分の見解だ。」と述べている。確かに若い馬ならまだしも、ビッグアーサーの5歳時という年齢からも納得のいく見解である。本番はマークも厳しくなるし、逃げ・先行馬が多数いる中で、次も同じ逃げの手を打つことは確かに考えにくいと言えるだろう。

やはり逃げるならこの馬!”スピード押し切り一辺倒”から”万能型”に進化した逃げ馬・ミッキーアイル

何が逃げるのか?と考えた時、真っ先に浮かんだのはミッキーアイル。この馬はもともと逃げ馬だったが、同馬を管理する音無調教師がスピードだけで押し切るスタイルに限界を感じ、4歳時の早めに先行するスタイルへと脚質転換を図った。

しばらく逃げずに先行するも着順は伸びずに苦戦。結局昨年は1度も逃げることなく終わった。しかし年が明けて今年の高松宮記念では「ハイペースになったとしても行くしかない」と音無師がコメントし、ここにきて逃げにこだわる姿勢を示してきた。レースは結局逃げなかったが、3番手に控える形でレースを進めて2着に入着。逆に逃げたローレルベローチェが16着、2番手を追走したハクサンムーンが11着に敗れて、やや差の開いた3番手を追走したミッキーアイルが好走した形となった。

これまで、マイルから短距離、逃げから先行へと変わり、なかなか適性が読みきれない部分がある馬ではあるが、色々試行錯誤したことで昨年とは変わってきた印象があるのも事実。どんな馬場でもこなせるようになってきたし、とくに対応できるペースの幅は広がった印象が強い。

今年の高松宮記念ではハイペースの流れに乗って3番手からねじ伏せての2着、2走前の阪急杯では得意の逃げで勝利し、馬場も昨年の渋った高松宮記念で3着、不良馬場だった阪急杯でも2着と道悪もこなしている。最大の持ち味であった前半から前に行くスピードの早さに加えて、対応できる状況の幅の広さも大きな武器となった。

逃げて勝ってきた3歳時から2年近く経つが「逃げたレースの次は難しい」ということを一番長く感じてきていたのはこの馬ではなかろうか。

今年のスプリンターズSのメンバーの中で出脚の早さでミッキーアイルに対抗できそうなのはベルカントくらいで、前走行ききれなかったネロも逃げるかどうかが微妙なところだ。逃げて主導権を取ってもよし、番手で競馬をしても良し。エアレーションを施すようになった中山の馬場もこなせそうな気配もある。色々できるようになったこの馬の実力を試すには最高の舞台だし、音無師から逃げの手も解禁された今、今までのウップンを晴らすような爆発的な走りを見せてくれるかもしれない。