【北九州記念2025予想】条件ドンピシャのアブキールベイ、課題は展開のみ

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今週の北九州記念において注目を集める存在が、G3・葵ステークスを快勝したアブキールベイ(牝3、坂口智康厩舎)である。これまでリステッドの春雷ステークスを制したヨシノイースターや、同2着のロードフォアエースといった素質馬が顔を揃える中にあって、重賞を勝ち切った実績は光る。特に葵Sでは15番人気という低評価を覆し、世代トップクラスのスピードを証明する内容だった。

前が飛ばす展開に加えて、外差しが有利な「外向き馬場」も味方した形ではあったが、それを差し引いても見事な勝ちっぷりだった。スタートをしっかり決めて流れに乗り、直線では空いたスペースを的確に突いてしぶとく脚を伸ばした。地力の高さを改めて示した一戦だった。

2走前のマーガレットステークスでは6着に敗れたが、この時は3走前の1勝クラスで大きく減らした馬体重を戻す過程での出走でもあり、状態面に万全さを欠いていた可能性が高い。実際に馬体が戻った直後の葵Sではしっかりと結果を残しており、体調管理が成績に大きく影響するタイプとも言える。

アブキールベイは差しタイプであり、展開に左右される面は否めない。特にスローペースでは力を出し切れない可能性があり、ある程度流れる展開が理想だ。その点で、今回の舞台となる小倉芝1200mは合っている。前傾ラップになりやすく、持ち前の機動力と末脚を生かせる流れが見込まれるからだ。

さらに、この小倉1200mではすでに勝利経験がある。今年1月の萌黄賞ではきっちり差し切って勝利しており、同条件の実績があることは大きなアドバンテージとなるだろう。

加えて今回は、前走から2kg減の53kgで出走できる点も魅力だ。小柄な牝馬(馬体重420kg前後)であるアブキールベイにとって、この斤量は大きな武器となる。追走力が求められる小倉1200mでは、軽量が生きる可能性は高く、スムーズな追走から持ち前の末脚を発揮する展開に持ち込みやすくなる。

唯一の課題は持ち時計の面だが、まだ3歳の成長途上にある馬だけに、さらなる上積みが見込める。スピード勝負への対応力も十分に備わってくる可能性があり、この時期の3歳牝馬ならではの急成長に期待がかかる。

ハンデも展開も、舞台も味方につけたアブキールベイ。今回はマークされる立場にはなるが、それを跳ね返すだけの素材を持つ。好条件が揃った今回は、中心視するのが自然な選択と言える。再び世代トップの力を見せつける走りが期待される。