【ニュージーランドT予想2025】アドマイヤズームの“1強ムード”、唯一の不安は気性面
主役は、やはり朝日杯フューチュリティステークスを制したアドマイヤズームで間違いないだろう。
前走では1枠2番という絶好の内枠を活かし、スムーズに先行して番手を追走。前半35秒4、後半33秒7というスローペースの中でしっかりと脚を溜め、直線ではラスト2ハロン10秒9-11秒0の鋭い末脚を繰り出して、2着馬を2馬身半突き放す完勝劇だった。気性面に課題のある馬ではあるが、川田騎手が巧みに御し、馬群に入れずリズムよく運ばせることで、不安を感じさせない見事なレース内容だった。
今回のニュージーランドトロフィーでは、クイーンカップ4着のコートアリシアンや、クロッカスステークスを制したプリティディーヴァといった有力馬も参戦予定だが、重賞ウイナーはアドマイヤズームただ1頭。しかも、先週のチャーチルダウンズカップを制したランスオブカオスを朝日杯で3着に下している点から見ても、実績・能力ともにこの馬が一枚上手と言えるだろう。
中には、今回は本番を見据えた“叩き仕上げ”ではないかと見るファンもいるかもしれない。しかし先月上旬に帰厩後、3週前の追い切りで栗東CWコースを6F84秒8-1F10秒9と鋭くまとめ、1週前にはさらに6F81秒5-1F10秒8とハイラップを記録。しまいの時計は3週連続で10秒台をマークしており、状態面には何ら不安は見られない。調整の段階でも高いパフォーマンスを見せており、仕上がりの良さと地力の高さを感じさせる。
唯一の懸念材料を挙げるとすれば、やはり「気性面」だろう。今後を見据えた教育的な意味合いでの試走に徹する可能性も考えられる。特に道中で包まれるような展開になった際、我慢が利くかは大きなポイントになりそうだ。それでも、相手関係を考慮すれば、多少の不利があっても直線だけの競馬で上位争いが可能なだけの能力を秘めている。
例年、ニュージーランドトロフィーはミドルペースで流れ、先行・好位勢に有利な傾向がある。アドマイヤズームは前走、3コーナーからの下り坂でもペースが上がらず、ラスト3ハロンだけの上がり勝負という珍しい展開を制したが、むしろ本質的にはある程度流れた方が力を発揮しやすいタイプだ。積極的に前で勝負する形が取れれば、そう簡単には崩れないだろう。
初の中山コース、初遠征という不確定要素はあるものの、それを差し引いても馬券圏内を外すイメージは湧きにくい。人気を背負う立場ではあるが、軸馬としての信頼度は極めて高く、今回もその強さを存分に発揮してくれるはずだ。