【凱旋門賞2017】5頭出しオブライエン厩舎、史上11番目の連覇になるか?

今回の凱旋門賞はJRAが海外馬券を売り出してから2度めの挑戦となる。日本人としては当然サトノダイヤモンド、サトノノブレスの2頭を応援したいところだが、応援と本命の購入馬券は別物として考えないといけないだろう。特に日本で販売される海外馬券は日本独自のオッズが適用されるため、応援馬券が偏りがちな日本馬は実勢よりも配当が低くなりがちであり、所謂ド本命に好配当のつくオイシイ馬券であるケースが多い。海外馬券の販売も回数が増えてくればいずれこの傾向も収まることとは思うが、日本の悲願でもある凱旋門賞だけは顕著に現れ続けるのではないかと予想している。

今年は本命馬がはっきり明確に出ているレースでもある。各ブックメーカーのオッズを見ても断然の一番人気を得ているのが3歳にしてG1を既に4勝している牝馬エネイブルだ。各地のオークスを総なめしているばかりではなく、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスでは2着に4馬身半の差をつけ完勝。古馬を相手取ってもその輝きが劣ることはなかった。そして、この時の2着馬が今回の凱旋門賞にも出走し、2番人気気配濃厚であるユリシーズだった。ユリシーズにとって巻き返しとなるポイントは前回6.35kgあった斤量差が4.5kgまで縮んだという点。それでもやはりエネイブル優勢の声は避けられない。

単純な力量で言えばやはりブックメーカーの想定通りエネイブルが突出しているという判断はやむを得ないだろう。しかし、欧州競馬が日本の競馬と最も異なりチームスポーツであるという点を加味したとき、果たしてオッズほどの力量差があるだろうか、という疑問は残る。

そこでようやく表題のオブライエン厩舎の登場だ。昨年の凱旋門賞で3位までを独占したそのチーム力の素晴らしさは記憶に新しい。エネイブルを擁するゴスデン厩舎はキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスではエネイブル含み3頭出走させたが、凱旋門賞へは残念ながらエネイブルしか送り込むことが出来なかった。同厩舎・同馬主から2頭出走が叶ったサトノ陣営はこの点においては非常に興味深い挑戦になる。また本題からそれてしまったが、オブライエン厩舎からは全出走頭数の4分の1以上を占める5頭もの出走馬がいる。

この5頭でどのような戦術をとってくるのかは未知数ではあるが、極端な話横並びに走るだけで巨大な壁を形成することができ、1頭だけで走らなければならないエネイブルは圧倒的不利と言わざるをえない。当然それを覆すだけの走りが出来ると見込まれての現地オッズではあるが、相手取るオブライエン厩舎にも同じく3歳牝馬にしてG1を4勝しているウィンターがいる。凱旋門賞と同じ2400m近辺を勝ち上がってきたエネイブルと違い、ウィンターはマイルから2000mを戦ってきた馬なので、ここも単純な比較をすればウィンター不利には違いないが、それにしても5頭を駆使する陣営の力を考えると先述の通り、オッズ差ほどの力量差は感じない。

同厩舎の凱旋門賞連覇は当然簡単なことではないが、過去95回の開催で10組の達成がある。これを多いと見るか少ないと見るかは人によるのかもしれないが、私は思ったよりも多いと感じた。エイダン・オブライエンも連覇こそないが10年前にもディラントーマスでも勝利した「勝ち方を知っている」調教師であり、今年もその方程式に則った組み立てをしてきているのではないだろうか。