サトノダイヤモンド、キタサンブラック、ゴールドアクター。2016年の有馬記念は上位人気馬のワンツースリーで幕を閉じた。世代レベルに生じた疑念を振り払うかのように、強豪古馬たちを抑えて見事グランプリを制したサトノダイヤモンド。
『サトノはGⅠを勝てない』と言われていたのがまるで嘘のように、今年は秋から海外含め一挙に4つのGⅠ勝利を手に入れ、気づけば2016年の中央GⅠをもっとも勝利した馬主となった。里見オーナーの投資がようやく結実したと言える。
サトノダイヤモンドは池江師によると晩成と言われるタイプ。来年以降もまだまだ伸び代があると見ていいだろう。サトノクラウンもまだまだ4歳馬、低迷期を乗り越えたこれからの走りにも注目が集まる。
若駒を見ても、朝日杯FSは阪神JFと比べクラシックでの活躍馬が育ちにくい印象もあるが、一方でドリームジャーニーやロゴタイプなど長く活躍する馬も出てくるレースでもあり、その後の重賞戦線でも目立つ存在が多く、サトノアレスの今後にも期待したい。
積年の投資で築き上げた盤石の体制
毎週のようにメインレースに有力馬を送り込むサトノ陣営はオーナーのたゆまぬ努力の賜物であろう。有馬記念へもサトノダイヤモンドとサトノノブレスの2頭を送り込んだ。
キタサンブラック騎乗の武豊騎手が敗因分析では『サトノノブレスに突かれたのが痛かった。サトノ陣営の組織力にやられた』と、色々物議を醸しそうな発言をした。文面だけをとればサトノノブレスがサトノダイヤモンドのラビットであったという言及にしか見えないが。ちなみに筆者はラビット自体はルールに抵触するような悪質なものではない限り作戦としてありなのではないかと考えている。特に有馬記念のような、出場ですら困難なレースであればなおさら、ラビットを送り込むだけの陣営の総合力は讃えられてもよいのだろう。JRAは国際化を謳うのであれば、この点に関しても改めて方針を打すころあいかもしれない。
さて、話が逸れたが、里見オーナーの投資によりサトノ陣営は現在強固な地盤を築いている。GⅠを見事取得し、競走馬事業に興味をなくしでもしない限り、現在の体制は簡単には崩れないだろう。さらにサトノダイヤモンドは今後種牡馬へとなることはほぼ確約と言える。
早くもディープインパクトの後継種牡馬筆頭へ
ディープインパクトの産駒は牡馬より牝馬のほうが大物が多いのは周知の事実であると思う。これまでにGⅠを2勝したのがリアルインパクトとミッキーアイル、そしてサトノダイヤモンドの3頭。まだ先輩に肩を並べただけとも言えるが、勝利しているレースに違いがある。
リアルインパクト、ミッキーアイルは短距離からマイル路線であり、残念ながらというべきだろう、これらの路線は種牡馬としての評価は日本では上がりづらい。一方でサトノダイヤモンドは皐月賞、ダービーでも上位入線し、菊花賞と有馬記念を勝利したバリバリの人気路線。
前述のように2勝で止まるとは思えない充実ぶりもあるため、今後はディープインパクトの後継種牡馬としての期待が高まる。秋後半の快進撃は出来過ぎにしても、サトノ陣営の勢いが止まることはないだろう。