厳しい男性社会・実力社会で今頑張っている一人の若き女性がいる。JRAの騎手候補生である藤田菜七子(18)だ。彼女は現在JRAの騎手を目指して励んでいる18歳の女性だ。現在は美浦の根本厩舎で厩舎実習中の騎手候補生である。普通に学校に通っていれば、どこにでもいる高校3年生だ。しかし彼女が目指すはプロの騎手だ。通っている学校は普通の高校とは違い、体重制限や寮での厳しい規律などがある競馬学校に通っている。競馬学校への入学は狭き門で、150人が受験して10人程度しか合格しない。さらに騎手を目指すほとんどが男性ときたものだ。とても厳しい男子校に女の子が一人で入学するという感じだろうか。
7人目の女性騎手誕生なるか?
女性騎手はこれまでも6人がデビューしてきた。’96年に田村真来、細江純子、牧原(増沢)由貴子の3人の女性騎手がデビューし、初の女性騎手が誕生して世間を騒がせた。以降も3人の女性騎手がデビューしているが、'13年に女性騎手としては最期の一人であった牧原(増沢)騎手が引退をし、現在女性騎手はいない。藤田が騎手に合格すれば来年の3月には騎手としてデビューすることとなり、'00年に女性騎手として最期にデビューした西原玲奈騎手以来実に16年ぶりの7人目の女性騎手となる。
模擬レースに1,050人来場!
先日10月8日にはJRA競馬学校騎手課程32期生の公開模擬レースが行われた。この模擬レースは、半年後の騎手デビューを目指す騎手課程の生徒が初めて客の前でレースを行う実践的なレース形式の練習である。今年は藤田を含む3人の候補生が参加した。16年ぶりの女性騎手デビューということもあってか模擬レース会場には1,050人という多くの競馬ファンが集まり、昨年の250人と比べて一気に4倍近くも増えた。デビューを前にしてさっそく菜七子効果の現れか。しかし残念ながら結果は第1レース5着、第2レース3着と勝ち星を上げることはできなかった。
騎手としてやっていくには実力が伴わなければ騎手依頼は舞い込んで来ない。これまで女性騎手で唯一JRAの重賞競走に騎乗した事があるのは細江純子元騎手が北九州記念でレゾンデートルに騎乗した1回のみである(9着)。藤田がデビューすることとなればいつかぜひ重賞競走でその姿を見てみたい。そのためには騎乗回数をたくさんもらい、そして重賞競争で勝ってほしい。厳しい道のりではあるが、そんな立派なジョッキーになってくれればそれをきっかけに女性も活躍しやすい環境が競馬界にも作られていくのではないだろうか。今後の彼女の動向に注目すると共に、彼女の今後の活躍にも期待をしていきたい。