春のG1戦線も皐月賞で一段落がついた。4週間に及ぶG1連戦は大本命が敗北を喫する中波乱が目立った形となり、圧倒的人気に応え見事に優勝を果たしたのが中山グランドジャンプのオジュウチョウサン、そして今回天皇賞(春)にも出走する、大阪杯でのキタサンブラックの2頭だった。キタサンブラックは昨年の天皇賞(春)を制したディフェンディングチャンピオンでもあり、2016年のJRA年度代表馬として今回も出走馬の中心的存在にいることは間違いない。そんなキタサンブラックにとって唯一、目の上の瘤的な疎ましい存在にあたるのがサトノダイヤモンドだろう。現在の日本の競走馬の中でも頂点に立つであろう2頭だが、お互いに歩んできた道のりは対照的だ。
大きく人気を被ることもなく愚直に勝利を積み重ねてこの位置にたどり着いたキタサンブラックに対し、サトノダイヤモンドが日の目を浴びるのは非常に早かった。母親は南米アルゼンチンでG1を3勝した優駿マルペンサ、セレクトセールに出せば2億3千万の高値がついた超エリート。そして、その高額をあっという間にペイしてしまうほどの快進撃を続け、今に至る。クラシック戦線を戦い終え、最強世代の中から見事に最後の一冠をもぎ取った後、年末の競馬の祭典・有馬記念でサトノダイヤモンドとキタサンブラックは初めての対戦をする。新旧菊花賞馬対決、その先輩として胸を貸す立場にあったキタサンブラックだったが、僅差で1番人気をサトノダイヤモンドに譲ってしまい、着差も同様の結果となってしまった。
キタサンブラックにとっては連覇をかけた得意の舞台で雪辱を果たす絶好のチャンスを得たという所だろう。サトノダイヤモンドからしてみれば、まさしく目の上の瘤。キタサンブラックを再度倒してこそ真の日本の頂点として君臨する立場となるだろう。今年の年度代表馬を占う天皇賞(春)となりそうだ。