去年の菊花賞と有馬記念を勝ち、天皇賞春でも人気になるのが確実の馬であるサトノダイヤモンド。特に菊花賞での勝ち方が素晴らしく、他馬を寄せ付けないような圧倒的な勝ち方であった。前走でも長距離重賞である阪神大賞典に完勝したことから、その長距離適性は疑うところのないものであり、同じく長距離のG1である天皇賞春においても距離面での心配はほとんどないだろう。
また、天皇賞春が行われるのが京都競馬場ということもプラスに働いている。父ディープインパクトの産駒には京都競馬場が得意な馬が多いのだが、その例に漏れずサトノダイヤモンドもまた得意としているからだ。
元々パワー面において少々難があり、コースによっては坂の手前から足の鈍ることがあるサトノダイヤモンドだが、平坦な京都競馬場だとそういった心配もなく存分に末脚を発揮できる。実際にこれまでに勝ってきたレースを見ても、京都競馬場で行われたきさらぎ賞と菊花賞が、特に強いパフォーマンスを見せていることからもそれは明らかだろう。
サトノダイヤモンドに見られる2つの懸念点
ほぼ完璧にも見えるサトノダイヤモンドだが懸念すべき点が全くないわけではない。まずは、前走の阪神大賞典では道中少し掛かり気味だったこと。G1ではそういったちょっとしたロスで結果が変わってくるのである。かかった状態で完勝しているあたりは流石といったところだが、本番では2強の片割れであるライバルキタサンブラックだけにとどまらず、相手関係は前哨戦より厳しくなるのは間違いない。
もう1点が、今回はサトノ軍団からの出走がサトノダイヤモンド1頭になっているという点。有馬記念では終了後に武豊騎手の「組織力に負けた」という言葉もあったように、僚馬サトノノブレスの後押しがあったのは事実のようだ。菊花賞においてもサトノエトワールという絶好の逃げ馬が出走していた。
もちろん前走ではサトノダイヤモンド1頭のみでの出走であり、軍団での出走以外でも充分の結果は出してきているが、前述の通りちょっとの差が明暗をわけるのがG1の世界。皐月賞では直線の不利、日本ダービーでは落鉄と不運も重なったが、結果的に単独で出走したG1では勝利を挙げられていないのも事実であり、今回こそまさにサトノダイヤモンドの真価を問われる一戦となる。