亡き勝ち馬が失格処分、ケンタッキーダービー1着のメディーナスピリットが優勝取り消し

昨年の5月1日に米チャーチルダウンズ競馬場で行われたケンタッキーダービーで1位に入線したメディーナスピリット(B.バファート厩舎)の優勝が取り消しとなったことが明らかになった。これにより、2着だったマンダルーン(牡4、B.コックス厩舎)が繰り上がり勝者に認定された。21日、米ケンタッキー州競馬委員会(KHRC)が発表した。

メディーナスピリットは同レースで1位入線後、レース後の検査でコルチコステロイドである「ベタメタゾン」が検出。レース結果については長きに渡って審議中となっていた。同馬は昨年12月6日の追い切り後に心臓発作のため亡くなっており、今回亡き勝ち馬が失格処分される珍しい結果となった。第147回を迎えたケンタッキーダービーにおいて薬物検査での失格は1968年に1位入線を果たしたダンサーズイメージ以来、53年ぶり2頭目。その際は2位入線のマンダルーンが繰り上がりで1着となっている。

調教師のB.バファート氏は同レース史上最多7勝目を挙げていたが、勝利は取り下げとなり、90日間の資格停止処分に加え、7500ドル(約86万円)の罰金処分を受けた。KHRCは、優勝賞金186万ドル(約2億1,390万円)についても返還する必要があるとしている。なお、今年のケンタッキー・ダービーへの参加も不可となっている。バファート調教師はこの処分に対して異議申し立てを行う意向で、上訴する見込み。

バファート師は、メディーナスピリットの皮膚炎の治療に使われていた薬にベタメタゾンが含まれていたと昨年から主張しており、潔白を訴えていた。バファート調教師を担当するC.ロバートソン弁護士は昨年12月、ケンタッキー州のルールは“酢酸ベタメタゾン”にのみ対処して規制していることを挙げ、メディーナスピリットの検体には皮膚病の治療に使われたオトマックスに含まれる“ベタメタゾン吉草酸エステル”しか含まれていないことを指摘。

検査結果に関するバファート氏の弁護士の声明についてKHRCは公のコメントを出さず、その公的活動は裁決委員の裁定や規定・法律文書の記述に委ねていると述べていた。さまざまな種類のベタメタゾンが今後問題になってくる可能性も含めて、結果については米国の競馬界をはじめ世界中の競馬関係者が注目していた。