デビューは芝の新馬戦を走り7番人気から巻き返し見事優勝。しかし、続く条件戦で7着、13着と不本意なレースをしてしまったグレイトパール。ところが目を見張るべきは次走から、舞台をダートに移し心機一転挑んだ自己条件500万下のレースでは2着に3.5馬身差をつける快勝ぶり。これを皮切りに1000万下、1600万下を1番人気で優勝しトントン拍子でオープン入りし、そして前走では仁川Sも制した。内容を見ても2着とは3/4馬身、3着とは10馬身と差をつける圧勝劇。グレイトパールは今年で4歳の牡馬。芽が出たのは早くはないが、決して遅すぎるということもない。着実に一歩ずつ進めてきたステップで、今度は重賞獲得に挑む。
平安ステークスは例年にもましてレベルの高いレースとなりそうだ。出馬表を見れば重賞勝ち馬の名前がずらり並ぶ。昨年の平安S勝ち馬アスカノロマンに、幻のGⅠとなったコリアカップ勝ち馬クリソライト、そして同2着で3年連続平安S連対中のクリノスターオーなど非常に予想の難しい中に注目の上がり馬グレイトパールがどこまで割って入るかが焦点となる。
並み居る強豪ひしめくと言ったところだが、グレイトパールのレベルは決して見劣りするものはない。確かに実績を見ればOPを勝ちこそしたが前評判でも強豪不在のレースとも言われ案の定2強が人気順に入線し、本当に強い相手との対戦が未経験であるという向きもある。それでも平安Sの舞台となる京都1900mはすでに3勝している庭とも言える得意の舞台。
懸念点は他にもないわけではない。前でも後ろでも競馬の出来る自在性のある足を持つグレイトパールでその末脚は出走馬中でもトップクラスと言って差し支えないだろうが、持ちタイムが例年の平安S優勝タイムに及んでいない可能性がある。京都ダ1900mも過去3走で1.55.2という非常に速いタイムを出してはいるが、ここは不良馬場だったための影響が大きそうだ。良・稍での時計は1分58秒台であるため、ここが頭打ちということもないだろうが、経験不足が予想を困難にさせている面は否めない。
道中の展開次第で遅い時計の決着になることがあれば十分巻き返すレースは可能だろう。ただし、先述したアスカノロマン、クリソライト、クリノスターオーと強力な先行馬が揃っているため、グレイトパールにとっては逆風となる展開になりそうだが、当然今後も毎度遅いレース展開を望み続けるのは虫が良すぎるというもの。過去のレースでは、相手関係から速い脚を使う必要がなかったための遅い決着という可能性もあるため、グレイトパールにとって試金石となる一戦だ。