セレクトセールで高額馬を射止め大きな話題を作ったクラブ法人DMMドリームクラブの、新たな一口馬主のスタイルを提唱するサービス「DMMバヌーシー」の概要説明会が行われ、サービス開始時にラインナップされる9頭それぞれの予定厩舎や募集価格などが発表された。
DMMバヌーシーとは?今までの一口馬主とはどう違う?
1頭の馬を複数のオーナーで共同所有するという基本理念自体はDMMバヌーシーと既存の一口馬主サービスとで違いはないが、最も大きな違いは手軽さにある。一口馬主は各種関係者との連絡こそクラブ法人が代表して行うが、発生する費用面などはまさしく小口の馬主業といった具合に事ある毎に発生する。例えば厩舎へ支払う月々の管理費など、所持する口数分だけ維持費を支払う必要がある。海外遠征などが決まればその金額は馬鹿にならない負担となるだろうが、DMMバヌーシーでは継続して発生する費用というものがない。その分、取得にかかる一口あたりの金額を多く徴収する形となる。
金額が多くなっては、手軽さとは真逆に思うかもしれないが、それを解決するのが分割する口数の増加だった。有名所では40口や100口、400口などがメインストリームであり、大量募集と言えど4000口と言ったところがせいぜいだったものが、DMMバヌーシーでは全て1万口の募集となる。今回発表された9頭の中で最も高額となったのがキタサンブラックの全弟・シュガーハートの2017の1口44,000円だった。満口の応募が入れば4億4千万円となる。市場取引価格の1億5660万円と比較すれば約2.8倍ほどとなり、これまでの一口馬主サービスよりは諸経費を含めて考えても割高にはなるが、かかる費用の目処はたちやすく実費も少なくなる。
個人も一口も馬主で稼ぐとなると非常に厳しいと言うのはご存知のことと思うが、さらに割高になるDMMバヌーシーでは絶望的と言っても過言ではない。とは言え、DMMバヌーシーの求めるユーザーはそういった層ではないというのは「このサービスを投資と捉える方にはお勧めできない。」という、事業を統括する野本氏の言葉からも汲んで取れる。一口馬主とペーパーオーナーの間にあるニッチな需要をついたものであると予想できる。
問題はそのニッチな産業において一万口という大量の募集を実現することが可能であるだろうか?という点だろう。何よりの武器は多数抱えた超良血統馬たち。様々なサービスを成功へと導いてきたDMMグループの手腕が発揮されるか、気がつけばニッチがニッチでなくなる日が来るかもしれない。