歴代勝ち馬にグラスワンダー、エイシンアポロン、グランプリボスなどのいる出世レースである京王杯2歳ステークスが今週土曜日に開催されます。12月の2歳馬チャンピオン決定戦たる朝日杯フューチュリティステークスと阪神ジュベナイルフィリーズの前哨戦としても知られており、このレースから勝ち抜き、両レースを制した馬も少なくありません。
また、今年遅ればせながら本格化し大きく注目を集めているラブリーデイもこのレースで2着の結果を残しています。そして今年もこのレースから未来のスターが生まれてくる可能性が大いにあり!ということでレース前から注目の2歳馬をご紹介させていただきます!
モーゼス(牡2・父ダイワメジャー・母チャールストンハーバー)は、全兄にNHKマイルカップを制したカレンブラックヒルのいる良血。新馬戦では終始ゴルゴバローズと先頭を争う先行策ながら、常にゴルゴバローズの少し後ろを行く展開。最後の直線もギリギリまで2位のままでしたが、ラストのラストでひと伸びクビ差での1着となりました。負けるのかとヒヤヒヤする展開でしたが、思い返せば余裕をもってきっちりと差しきったという印象も受けるレースでした。いまだ新馬戦勝ちのみですが、血統的背景をみればここを更に勝利するポテンシャルは十分に感じられました。
京王杯2歳ステークスには同様に新馬戦勝利で2戦目の馬がモーゼス以外にも4頭出走を予定しています。アンナトルテ、トップライセンス、ボールライトニング、メイプルキングの4頭です。アンナトルテの父エンパイアメーカーという点も注目をしたいところではありますが、ここはもう1点メイプルキングの血統に注目をしたいと思います。
メイプルキングの母の母ロジータと言うとJRA専門の競馬ファンには馴染みの薄い名前かもしれませんが、1989年南関東を大いに賑わせた伝説級の牝馬です。なしとげた偉業の一つに、牝馬にして南関東三冠制覇があります。南関東三冠馬はこれまでに7頭がいますが、牝馬はもちろんこのロジータのみ。そして、そのあまりの人気ぶりに、引退レースである川崎記念(南関東G1)では単勝1.0倍、2番人気以下すべて万馬券という驚異の馬券を作り、8馬身差をつけて圧勝し花道を飾ったという逸話を残しています。さらに子のカネツフルーヴ、孫のレギュラーメンバーが川崎記念を制し、3代にわたり優勝という記録もつくっています。
それでも未だ中央での記録はやはりぱっとしないままで、偉大な牝馬の名前を伝説ではなく、子孫であるメイプルキングにより直接知らしめてほしいとも思ってしまいます。また、そのネームバリューや希望的観測のみではなく、十分に実現可能な力を備えていると思わせる強い走りを新馬戦では見せてもらうことができました。
カレンブラックヒルの全弟モーゼス、ロジータの孫メイプルキング。いずれも新馬戦を勝ち抜けたばかりで、まだまだ実力未知数ではありますが、ぜひ京王杯2歳ステークスでは注目したい2頭です。