今週はいよいよ上半期を締めくくるグランプリレース「宝塚記念」が阪神競馬場で開催されます。
今年はファン投票で堂々1位を獲得したタイトルホルダーの前評判が高く、1番人気が濃厚だ。もともと昨年末の時点での大将格はエフフォーリアだったが、今年初戦の大阪杯でまさかの9着に敗れたことで、勢いに勝るタイトルホルダーに人気が集まるかたちとなった。
タイトルホルダーは春2戦2勝と今年は好調で、初戦の日経賞快勝後は、前走の天皇賞・春も7馬身差で完勝し、一気に同世代の馬たちをけん引する存在となった。逃げ馬というアタマでは買い難い脚質ながら、G1でここまで強い競馬を展開できるのは能力の高い証だろう。
ただ、今春のG1シーズンは1番人気が勝てないジンクスが絶賛継続中だ。宝塚記念自体は過去10年で1番人気が3勝しているが、現在1番人気はG1レースで12連敗中を喫しており、84年のグレード制導入以降ワーストタイの連敗記録となっている。このまま宝塚記念も1番人気が負けるようなら、過去最多の連敗記録をマークすることになる。オカルト的なファクターではあるが、この流れの中で1番人気が有力な逃げ馬を買うのは実際少々勇気がいる。
また、距離についての見解も分かれそうだ。今年初戦の日経賞は2500m戦をスローペースの上がり勝負で逃げ切っており、この戦歴から2200mなら割り引きたいという気持ちも湧いてくる。実際長い距離で結果を出しており、この距離では勝ち切るにはどうかという見方をするファンは少なくないはず。
それでもグランプリと求められる適性が似ていた昨年の皐月賞で2着に好走した点は無視できない。中山の稍重馬場で、前半がそこそこ流れた上に後半も早めに動いていく消耗戦という展開で2着に入着したのは立派だ。
今回は同系にパンサラッサがいるが、有馬記念ではパンサラッサが作る前半1000m53.2秒というハイペースを追走する厳しい展開だったが、それでも最後の直線で1度は先頭に立って掲示板を確保するなど確かな能力を示している。
今回もパンサラッサの出方が鍵を握ってそうだが、あちらも距離の不安はあり。スタミナのいるコースで初の58kgを背負ってとなると、おそらく距離はギリギリこなせるかどうかというところ。序盤から爆逃げしていく競馬もファンとしては面白いが、スタミナ温存して早めに動いてという競馬が現実的にも思える。
週末の天気によってはパンサラッサにも分がある展開にもなり得る故、この2頭の出方については当日の天候と馬場を見てからの判断でも遅くはないか。何れにせよ、スタート直後から目が離せないレースとなりそうだ。