今週、小倉競馬の日曜メインは2000mのハンデG3「小倉記念」が開催。過去10年のデータ・傾向でも記されているが、一番複勝率が高いのは「6番人気」の70%といったように、波乱含みの一戦となっている。伏兵の激走にも十分警戒が必要だ。
中でも注目したいのは、3月にデビューした女性ルーキー騎手の今村聖奈騎手とカデナのコンビだ。
今村騎手は夏の小倉競馬開幕週を飾るG3「CBC賞」を、2番人気テイエムスパーダとのコンビで逃げ切り快勝。98年池添謙一以来、史上4人目となるデビュー年のJRA重賞初騎乗初勝利を達成。9日の盛岡競馬場で行われたエメラルド賞では1番人気のフローレンスハニーで5馬身差の逃げ切りVを果たし、地方交流3勝目を含めてデビューから通算28勝を達成。これでG1に騎乗できる31勝まであと3勝まで迫った。
精力的に全国を飛び回り順調に勝ち星を重ね、女性騎手のデビュー年最多勝利記録の更新、同期で勝ち星トップを独走など、その勢いはとどまるところを知らない。
重賞初勝利をあげたばかりのルーキー騎手ではあるが、小倉での重賞勝利経験は当然好材料。また、今回コンビを組むのが同じく小倉巧者のカデナだというのだから軽視はできない。
カデナは2020年の小倉大賞典の勝ち馬で、今年の小倉大賞典でもメンバー上がり最速の脚で3着に食い込んでおり、改めて舞台適性の高さを示した小倉のスペシャリストだ。
今村騎手とは小倉芝1800mで行われた前走の中京記念で初コンビを組み、6着に敗退。敗れはしたものの、勝ち馬と0秒4差と離されてはおらず、8歳で57.5kgの斤量を背負って上がりもメンバー最速の33秒9を使ってこの内容は立派だ。展開もスローと流れもいまいちだったことを考えれば、展開次第ではまだまだ勝ち負けになる馬であると言ってよいだろう。
溜めれば強烈な脚を使えるカデナだが、前走二の脚が全く利いてなかったところを見ても、やはり8歳という年齢もあって近走はズブさが増してきている印象を受ける。もう少し前目につけることが出来ればレースも楽になるだろうが、年齢から来るズブさを改善するのは容易ではない。また、今回も斤量は57.5kgと前走から据え置きで、斤量面の恩恵が無いここも厳しい競馬を強いられる可能性は高い。
前半の位置取りは難し故後方待機前提として考えるしかないが、噛み合えば十分勝負にはなる。2Fあたりからの末脚の持続力を活かした競馬を展開するのか、早めに仕掛けて押し上げていくのかなど、場面での判断次第でも面白くなるだろう。
今村騎手もレース後に「一度乗せてもらったことで、競馬でのカデナのいいところも分かりました」「レースを見て“こうすれば良かった”というのもあります。」と同馬の手応えの良さを感じるとともに、反撃へ向けた前向きな姿勢も見せてと、ルーキーらしからぬ落ち着いた雰囲気で次走への意欲を語った。
8歳馬のロートルに今年デビューしたばかりのルーキー騎手と、一見軽視したくなるコンビではあるが、まだまだ不気味さがあり侮れない小倉巧者と、同じく小倉と相性の良い勢いあるルーキー騎手とのコンビは、一発があっても不思議のないポテンシャルを秘めていることは違いない。