凱旋門賞の前哨戦であるフォワ賞では6頭中4着という結果に敗れたサトノダイヤモンド。国内ではもちろん現地のフランスでも凱旋門賞の優勝候補の一角として人気を集めておりましたが、この敗退で一気に暗雲が立ちこめてきました。
課題は「馬場」、欧州の馬場にどれだけ対応できるかが鍵
フォワ賞の敗因とされているのはやはり現地の「馬場」ではないでしょうか。週中に降った雨の影響が残り、フォワ賞が開催された日の馬場は重馬場となりました。凱旋門賞を含め、欧州で開催されるレースに挑戦する日本馬にとって常に立ちはだかっているのがこの「欧州の馬場」です。今回、雨が降って普段以上に重くなってしまったのはツキがなかったとも言えますが、基本的に日本のしっかりと整地された良馬場に比べると自然のままの状態に近いヨーロッパの馬場は芝生が長く、秋が日本より早く訪れ雨が多いこの時期はとくにしめった状態でレースを迎えるケースが少なくありません。芝を短く刈り込み、乾いた馬場を理想とする日本の競馬に慣れた馬にとっては難易度の高いレース環境と言えるでしょう。
一回叩いたことで次はサトノダイヤモンドの仕上がりも上がってくるでしょうし、一度現地のレースを経験しておいたことである程度は対応してくる可能性もありますが、やはりレース当日は良馬場が希望。本番を3日後に控えた現地の天候が気になるところですが、昨日27日にエーグル調教場の芝コースで追い切りを行った際はモヤがかかった状態で、芝は濡れてかなり力を要する馬場状態となっておりました。
凱旋門賞当日の天候は「曇りのち雨」、降水確率は55%
凱旋門賞が行われる10月1日のシャンティイ競馬場の周辺の天気予報を調べてみると、当日は「曇りのち雨」となっており、降水確率も55%と高めです(28日時点の予報)。さらに29日も雨の予報となっており、ますます馬場状態が懸念される事態となっております。
とは言え、良馬場であっても現地のボコボコとした馬場では馬がスピードを出して走るのをためらってしまうケースもありますし、高速馬場だと逆にスタミナ不足などが露呈するなど、良馬場だからと言って条件が必ず良くなるとも限りません。オルフェーヴルが2着に入着した2012年の凱旋門賞の馬場も不良馬場でしたし、オルフェーヴルが再度2着に、そしてキズナが4着に入着した2013年の凱旋門賞も重馬場、エルコンドルパサーが2着に入着した1999年の凱旋門賞も悪天候が続き前日まで雨が降っていたという状況でした。日本馬が好走しているのは馬場が渋った時の方が多いことからも、全頭が走りにくくなる重馬場の方がむしろチャンスはあるという見方もできるのではないでしょうか。
昨年、良馬場開催で14着に大敗したマカヒキの時は「いっぱい自信ある」「マカヒキ凱旋門賞勝てる」「(枠番は)どこでも良い」と、レース前は強気の発言をしていたルメール騎手でしたが、今年は「(欧州の)重い馬場でどうかは分からない」と昨年とは打って変わって慎重なコメント。さらに調教師の池江師も「今日より(馬場が)悪くなったら苦しくなりますね」と馬場を懸念するコメントを残しておりトーンは上がらず。ペースメーカーとしての役割を上手く果たせなかったサトノノブレスをアテにするのも少々心許なく、全体的に険しいムードが漂う今年の凱旋門賞。期待感に溢れた昨年の凱旋門賞に比べると今年は不安感が漂う重苦しい空気となっております。
しかし、一競馬ファンとしてはこういう状況だからこそ応援したくなりますし、こういう時こそ奮起してもらい、ドラマを生んでもらいたい。フォワ賞の失敗を糧にして、ぜひとも本番は全てを出し切って日本馬初の凱旋門賞Vを果たしてもらいたいところです。
凱旋門賞は日本時間の10月1日(日)10時00分に発売開始(インターネット投票のみ)、発送予定時刻は日本時間の23時05分。