今年のスプリンターズステークスのメンバー構成は一長一短、良い意味でバランスの取れたハイレベルなレース展開が予想される。各馬、過去の実績を見て優劣をつけることは可能だが、展開如何でいとも簡単にひっくり返る程の差しかなく、極端な話16番人気が優勝したとしても然程驚きはしないだろう。
そんな中で人気サイドに食い込みそうな上がり馬ダイアナヘイローの期待値がどの程度のものか着目してみたいと思う。
父にキングヘイローを持つ4歳牝馬のダイアナヘイローは、現在北九州記念を含む4連勝中で最も注目度の高い上がり馬だ。昨年の春先から実力の片鱗を見せており、桜花賞の権利取りこそ出来なかったものの、オープン戦でも好走していた。思うように勝ち上がれず条件戦でくすぶっていたのが、今年に入りいよいよ本格化を見せてきた。
北九州記念も、後にセントウルSを勝利するファインニードルを下しての勝利であり、レースレベルに問題は一切なく今後も期待の出来る牝馬だ。番手からじわじわと抜け出してくるレースが得意で、しっかり伸びて勝ち切る力を持っている。本番のスプリンターズステークスでも16戦中10戦騎乗している名手武豊騎手が騎乗してくれるのも強みである。
期待だけではないダイアナヘイローに見える3つの不安要素
死角の見当たらないかに見えるダイアナヘイローだが不安要素もないわけではなく、1点目は少々レースを使いすぎなところだ。今年に入ってから8走、5月からみても5走と夏場も休みなく走っているため、実際に疲労が目に見えて現れているわけではないが、相手関係の強化される今回で一気に噴出するというケースもある。
2点目が前項と少し重なるが、G1への挑戦が今回初となる点。後ろからのレースになってしまったときは例外なく大きく負けてしまっているため、得意の展開に持ち込めなかったときの大崩れが気になる。
最後に、中山競馬場どころか関東での出走が未体験であるという点。小倉、中京への遠征経験もあり、北九州記念を勝利しているように輸送自体の影響は少ないかもしれないが、今までのレースでも平坦なコースでの活躍が多かったため、中山の坂がどのように影響してくるかが鍵となるだろう。
披露に関しても実際に溜まっておらず使って良くなっていくタイプの可能性もあり、G1への初挑戦も鞍上の経験値を考えれば問題視するレベルでもないかもしれない。また、現在続く連勝のスタートも苦手気味だった阪神2連勝からスタートしており、本格化とともに坂への適性も見せてきたかもしれない。
果たして不安要素が杞憂に終わり、上がり馬がそのまま頂点まで登りつめていくのか、ダイアナヘイローが今年のスプリンターズステークスの鍵となりそうだ。