今週はいよいよクラシック最終戦となる「菊花賞」が阪神競馬場で開催される。今年は春二冠の勝ち馬が不在ということで、注目されるは夏の上がり馬。トライアルのセントライト記念を制したガイアフォースだ。
弥生賞勝ち、ダービー・3着など春のクラシックで活躍したアスクビクターモアを力でねじ伏せた前走のセントライト記念も評価したいレースだが、2走前に小倉2000mで行われた1勝クラス・国東特別では早めに先頭へ立って後続を7馬身引き離し、1分56秒8のレコードで大楽勝を演じた。
アスクビクターモアを降した前走の勝ちっぷりから湧く期待感や、父キタサンブラックとの父子制覇への期待などから、ここは人気を集める1頭になるだろう。
距離の適性についてはどの馬も未知となるが、十分素質はありそうな血統で、まだ底を見せていないだけに期待したくなる。中山2200mで行われた前走のセントライト記念は、稍重の馬場を標準ペースで流れる展開で前残りの決着だった。厳しい展開というわけではなかったが、道中終始外目を回りながら、早めに手が動きながら長くいい脚を使った競馬ぶりは、高い長距離適性を感じさせる内容だ。操縦性の良さがあり、決め手よりは持続力を活かした方がタイプ。阪神の長丁場では武器となるモノを持っていることは確かだ。
キタサンブラック自身はセントライト記念から菊花賞制覇という道を辿ったが、産駒は2000m以上の距離での好走数はそこまで。母父クロフネは長距離を走るイメージはないが、母系には2000m以上の距離で好走が目立っているダンスインザダークがおり、こちらの血が濃い可能性もある。血統面だけでの適性判断はまだできず「期待半分、不安半分」といったところか。
相手関係からもここは最上位の1頭となる。新馬戦ではダービー馬のドウデュースと0秒2差の2着に好走しており、3着馬のフェーングロッテンもその後はラジオNIKKEI賞・1着、新潟記念・3着と重賞戦線で活躍している。若くからレベルの高い相手と上位争いを演じてきており、素質においても最上位の1頭と言っていい。
ただ、前走のセントライト記念では権利が必要な立場であった故、本気度は高かったのは事実。逆に前走負かしたアスクビクターモアは叩き台に使っていた立場で、叩かれた上積みを持って臨めるここは巻き返してくる可能性も高そうだ。一度負かした相手だからと言って侮っていると痛い目を見ることになるだろう。
とは言えこれまでの競馬ぶりを見る限りでは能力は最上位。力だけで勝ち切ることも十分ありえるだろう。距離適性においても期待できる部分が多く、不安よりも期待感が上回るというファンも少なくないはずだ。ここへ向けて高い本気度をもって調整を進めてきたライバルを再び降して、クラシックの大舞台で父子制覇を果たすのか。大物感が漂う馬なだけに、注目度は俄然高まるところだ。