ダービー馬レイデオロが菊花賞トライアル神戸新聞杯で結果を残しながら本番をパスしジャパンカップへ満を持して登場する。当初世代レベルも危ぶまれた現3歳世代の牡馬だったが今秋シーズンが進むにつれ、その評価を改めなければいけないことに気付かされる。3歳以上重賞で古馬混じりの中でも全く引けをとらず存在感を示し、G1においてもマイルチャンピオンシップではペルシアンナイトが優勝。アグネスデジタル以来17年ぶりとなる3歳馬の優勝という快挙でのことだった。
古馬相手にここまで戦えるその世代のダービー馬レイデオロにかかる期待は非常に大きい。特に近年は故障や不調で活躍できないダービー馬が多いだけに余計にその念も強い。もはや世代レベルという点において疑念を抱く余地は一切ない以上、ここは現役最強馬キタサンブラック対レイデオロという見方ができる。特にキタサンブラックはジャパンカップディフェンディングチャンピオンでもあり、今年の出走馬たちとも概ね勝負付けが済んでいる立場。このキタサンブラックを脅かす可能性が一番高いのは国内馬では唯一未対戦のレイデオロだろう。
レイデオロにとっても東京芝2400mのコースは日本ダービーで結果を残した得意の舞台。ダービーは超スローとも言えるラップで流れたため早めに抜け出した鞍上の好判断により前目での競馬で勝ちあがったが、レイデオロ本来の持ち味はやはり後方からの鋭い差し脚。今回も極端な逃げ馬が不在のためレイデオロに向いたペースで流れる可能性は高い。しかし、逃げ馬不在のときにこそ怖いのが自身でペースも作ることができるキタサンブラックである。キタサンブラックに競りかける馬がおらず、楽逃げを許してしまうと昨年の二の舞いとなりかねない。これを見込んでかどうか、レイデオロの前走神戸新聞杯では先行策をとり、普段とは違う競馬を見せた。
キタサンブラック、レイデオロ共に自在性のある脚をもっており、展開がどう転んでも見ごたえの有るものとなるのは間違いない。競馬業界的には、今年で引退を迎えるキタサンブラックにレイデオロが世代交代を告げる展開も望ましいはず。牝馬もエリザベス女王杯のモズカッチャンなど、現3歳世代は牡馬のみならず猛威を奮っている。ダービー馬レイデオロが今後も世代代表を担うべく大きな壁に立ち向かう。