12月10日(日)に香港のシャンティ競馬場で開催される「香港マイル」に出走するサトノアラジンが、このレースを最後に引退・種牡馬入りすることが6日に発表されました。
今年10月には、同馬を管理する池江泰寿調教師が東スポのインタビュー動画で「恐らく今年いっぱいで現役を退くことになると思う。」とコメントしており、すでに今年いっぱいでの引退を示唆しておりましたが、現地香港でついに正式に引退が表明されました。なお、繋養(けいよう)先や種付け料などは未定となっている模様です。
東スポのコメント内容からも香港での引退を予想していたファンも少なくないと思いますが、やはりいざ決まると寂しいものですね。思えば今年は安田記念を制し悲願のG1初制覇を果たしたものの、秋は極悪馬場の天皇賞秋にマイルチャンピオンシップでは苦手な内枠を引くなど、不運のレースが続いておりました。「高速馬場巧者で外枠なら買い」と、来る時の条件が比較的限定的で買う側としては非常に取捨がしやすい馬でしたが、個人的にはローテーションや馬場が噛み合っていればもっと勝てていた可能性があったと感じるので、引退を惜しむファンも多いのではないでしょうか。
果たしてラストランとなる香港マイルは買える要素はあるのか?
サトノアラジンにとって香港遠征は今回で3度目となります。1度目は2015年に2000mの香港カップに出走し11着でした。2度目は2016年に1600mの香港マイルに出走して7着に敗退。主戦の川田将雅騎手で挑んだ2016年の香港マイルでは1番人気に推され優勝候補の最右翼と目されておりましたが、レースは最後方からの競馬で直線で大外をぶん回し、ゴール前で詰まって7着というお粗末な結果に終わってしまいました。それでも途中まではしっかりと脚も伸びておりましたし、コースに苦戦したという印象はありません。香港のシャティン競馬場の馬場は欧州などの柔らかい馬場に比べれば比較的硬く日本の馬場に近いので、良馬場であれば力は発揮できるでしょう。
主戦の川田将雅騎手はレース当日は阪神で騎乗予定があるため、今年はテン乗りのH.ボウマン騎手とのコンビで参戦予定となっております。2017年ワールドベストジョッキーに選ばれたばかりのボウマン騎手がサトノアラジンでどういった騎乗を見せてくれるのか気になるところですが、この馬の癖や特徴からしていきなりインを突く競馬をしてくるとは思えませんし、やはりこれまで通りの「外差し」での競馬が有力と見て良いでしょう。
道中スムーズにまわって直線もビシっと追ってくれれば、と期待はしたくなりますが、道悪の天皇賞秋はただまわってくるだけの競馬で、前走のマイルチャンピオンシップも雪崩れ込むだけの競馬でした。復調の気配が見えぬまま引退・種牡馬入りが決まり、少々酷なローテーションにテン乗りの騎手と、あまり流れが良くないだけに買いずらいというのが正直なところです。
池江師は「(ラストランは)無事にというだけではなく、有終の美を飾りたい」と語っておりますが、サトノ軍団から待望の種牡馬誕生ということを考えると、「無事に」の方が本音のように思えてくるのは筆者だけでしょうか。何れにせよ、日本馬が出走する以上、無条件で応援したいと思います。