今年からG1に昇格した「ホープフルステークス」は28日(木)に中山競馬場で開催されます。1年の最後に行われるG1、そして競馬ファンにとって1年の集大成とも言えるビッグレースと言えばこれまでの「有馬記念」がそうでしたが、今年からはホープフルステークスが1年を締めくくるG1レースとしての役割を果たしていくことになりました。
G1昇格についてはまだ賛否両論ありそうですが、単純に年の際まで中央の競馬が楽しめると言うのは非常に嬉しい限りです。2歳G1ということで、来年のクラシック戦線を占うという意味でも今後注目度の高いレースとなっていくことでしょう。
記念すべき第1回目、注目の“2頭”は?
さて、記念ずべき第1回目となる今年のホープフルステークスですが、集まったメンバーは朝日杯フューチュリティステークスよりも実績的にもレベル的にもやや劣るといった印象を受けます。
そんな中で優勝候補の一角として注目されているのは前走デイリー杯2歳ステークスを制したジャンダルムです。新馬戦で高速馬場の阪神マイルをこなして勝利すると、続くデイリー杯2歳ステークスでは雨が少し降るタフな京都マイルで馬群の間を突き抜けて鮮やかな差し切り勝ちを果たしました。新馬戦から一気にメンバーが強化された2戦目で見違えるような末脚を繰り出したことからも、今後の期待が膨らむ一頭です。
そしてそのジャンダルムの最大の相手となりそうなのは前走東京スポーツ杯2歳ステークス2着のルーカスです。前走は勝ち馬のワグネリアンに差をつけられましたが、ある程度流れた中で3ヶ月ぶりの実績ということを考えれば2着確保は評価できる内容でした。この馬も新馬戦からパフォーマンスを上げてきており、1800mの実績からも中山2000mの舞台では楽しみにしたい一頭です。
ジャンダルムはスロー、ルーカスは前走ハイペースから差し脚を伸ばしてとお互いにレースのペースが違いますが、いずれも後方から競馬を得意とする馬で、この馬同士の対決は見所の一つとなりそうです。ジャンダルムはマイルを2戦、ルーカスは1800mを2戦してきており、2000mへの距離延長もお互いにポイントとなりそうです。
血統的な見解ですが、ジャンダルムは母ビリーヴで短距離色が濃く、短距離の舞台での活躍も見込まれている一頭です。上記でも記したように今回の距離延長の結果次第では進む路線も大きく変わってくるでしょう。ルーカスはモーリスの全弟という血統背景もありますが、他の兄弟が全く走っておらず血統的な強調材料は少なめです。モーリスの成長曲線を考えるとこの馬も本格化はまだ先のような気がしますが、ここを勝つようなら、クラシック戦線でも期待できる一頭となりそうです。
鞍上は、ジャンダルムには武豊騎手が騎乗。前走は武豊騎手の代打としてA.アッゼニ騎手が騎乗し、見事に重賞初制覇を達成。ホープフルステークスでは武豊騎手に手綱が戻り参戦予定となっております。新馬戦以来のコンビとなりますが、前走は新馬戦の頃よりも数段上のパフォーマンスを見せてきたジャンダルム。新馬戦の頃から成長した馬でどんな競馬を見せてくれるのか?そしてG1コンプリートまで再びリーチをかけることはできるのか?
一方のルーカスには今秋大活躍中のM.デムーロ騎手が騎乗予定です。この秋は一番信頼できる騎手と言っても過言ではない騎手ですから、ルーカスレベルの馬に騎乗となると注目せざるを得ないでしょう。偉大な兄を持つと嫌でも注目される馬ですが、新馬戦や前走の走りを見る限り高いポテンシャルを秘めていることは明らかです。ミルコ騎手が素質をさらに開花し、来年のクラシックの候補馬として名乗りを上げることは出来るのか?将来が楽しみな一頭です。
以上、今年のホープフルステークスで上位人気が予想される2頭の有力馬の見解を述べさせていただきました。まだまだ未知数な馬も多く、新たな強い馬が台頭してくる可能性も十分ある2歳G1。有馬記念に代わって今年のトリを飾ることになった同レースの結果はいかに?楽しみは尽きません。