12月20日は阪神競馬場芝1600mで「第67回朝日杯フューチュリティステークス」(G1)が開催される。注目は何と言っても前走のデイリー杯2歳Sで2着馬のシュウジに3馬身1/2差をつけて快勝したエアスピネル。現在デビューから負けなしの2連勝中で、鞍上は先週香港カップをエイシンヒカリで逃げ切り勝ちした武豊騎手だ。人馬ともに波にノッているコンビで、さらに今回は武豊騎手のJRA・平地G1全制覇という大記録もかかっているということで注目が集まること間違いなしだ。
鬼門であったマイルCSを2012年にサダムパテックで制して完全制覇にリーチがかかってから約3年。完全制覇まであと一歩のところまで来ているが、これまで15回騎乗してきた朝日杯FSは思うようなレースをすることができていない。武豊騎手の朝日杯FSにおける通算成績は【0-3-2-10】。2013年には3番人気に推されたベルカントで同レースに挑むも、結果は10着と大敗している。ベルカントはその後フィリーズレビュー(G2、阪神芝1400m)やアイビスSD(G3、新潟芝1000m)で活躍しており、マイルの適性が低かったことは否めない。武豊騎手自身も「僕は朝日杯が下手なジョッキー」と控えめなコメントをしているが、これまで乗ってきた有力馬がマイルの適性が低かったことや、朝日杯を使うことが少なかったということも勝てずにここまできた要因の一つかもしれない。
今年はG1競争完全制覇の大チャンス
今年はマイル戦を2連勝中のエアスピネルで同レースに挑むことができるので大きなチャンスが回ってきたといえるだろう。エアスピネルは父キングカメハメハ、母は秋華賞馬のエアメサイアという超良血馬だ。マイルどころか2000mでも通用しそそうな血統で来年のクラシックも狙える有力馬である。母エアメサイアは武豊が主戦騎手としても乗り続けた馬でもあり、とても縁の深い産駒でもある。そのエアメサイアは昨年放牧中に事故で亡くなってしまっており、亡き母の産駒に込める想いも特別なものがあることだろう。いずれにせよ、今年の朝日杯FSは実績的にも血統的にも合う馬に乗れることになるので、完全制覇に例年以上の期待がかかっている。
好調ダイワメジャー産駒が完全制覇に待ったを掛ける!
しかし2歳のライバル勢も黙っちゃいない。中でも注目すべきはダイワメジャー産駒勢。同産駒は今年の2歳戦で大活躍しており、2歳種牡馬リーディングでは5年連続トップのディープインパクトを抑えて首位に浮上。先週の阪神JFでは同産駒のメジャーエンブレムが優勝しており、阪神マイルとの相性の良さが目立つ産駒である。今回朝日杯FSに出走するダイワメジャー産駒は3頭。もう一つの前哨戦、京王杯2歳S(G2、東京芝1400m)をスローの決め手勝負で1馬身半差を付けて快勝したダイワメジャー産駒期待の新星ボールライトニング、前走くるみ賞(500万下、東京芝1400m)でハイペースの2番手から抜け出して完勝したショウナンライズ、そして前走のスポーツ杯2歳S(G3、東京芝1800m)では直線で不利があって6着に敗れたタイセイサミットがいる。武豊騎手の完全制覇を阻止する存在として、ぜひ注意しておきたい3頭である。武豊騎手によるG1完全制覇が達成されるのか?それとも2週連続でダイワメジャー産駒が阪神を制すのか?楽しみは尽きない。