先週のAJCCで約7ヶ月ぶりの出走を果たしたゴールドアクター。グランプリホースの久しぶりの出走を楽しみにしていたファンも多くいたことだろう。
約7ヶ月ぶりの長期休み明けであったが、武豊騎手との初コンビということも期待感を醸成させ、レース当日はミッキースワロー、ダンビュライトに次ぐ3番人気に推され、「3強対決」の状況に。しかし、1,2番人気の2頭が両馬とも連対を果たす一方でゴールドアクターは11着の最下位に敗れ、人気上位の明暗がくっくりと分かれた結果となった。
レースでは好位の内目と絶好のポジションを確保し、逃げたマイネルミラノが作り出すペースも前が残れる良いペースだったにも関わらず、直線では全く加速せず見せ場なくずるずると後退していくという惨敗の内容であった。直線だけならまだしも、コーナーで後続が上がっていく中で鞍上が追うも全く追走できなかったのは気がかりだ。
レース後、敗因についてはまたお決まりの「よくわからない」というコメントが出るのかなと思っていたが、意外にも鞍上のコメントはいつもより辛口であった。コメントは以下の通り。
「残念。初めて乗ったが返し馬からあまり良くなくレースでもらしくない走り。前後の脚のバランスが悪い。深刻かもしれません。」
長年競馬をやっているファンならわかると思うが、武豊騎手からここまで辛口のコメントが出るのは珍しい。しかし、確かに素人目で見てもその走りはお世辞にも褒められた内容ではなかったし、レース前の返し馬でも後退りをするなど走るのを嫌がっているとも見て取れるような動きが見れた。
この後は大阪杯へ向かい、その後は宝塚記念へ向かう予定となっていたが、そのローテも全て白紙になった。ここまで来ると「引退」の二文字もチラついてくるが、グランプリホースのこんな末路は見たくないものだ。
中川厩舎の手腕を問う。なぜこの仕上がりで出走させたのか?
1週前の追い切りでは格下相手に遅れ、最終調教でも上がりが13.6秒。競馬新聞のトラックマンたちの多くが調教の評価を酷評していたゴールドアクター。
当日のレースを見れば素人でもひどい内容であったことがわかるし、調教の時点でも多くの関係者が酷評をしていた。それなら当然、管理する調教師の中川師だって馬の状態が良くないことだって分かっていたはずである。そんな状態でも出走させたのは一体なぜだろうか?厩舎の調教ではどうにも良くならないから、とりあえずレースを使ってみて良くなることに期待したということだろうか。だとすれば今回のような結果になって当然だったと言わざるを得ないだろう。何れにせよ、今回のレースはゴールドアクターという馬の評価以上に厩舎の評価を下げたくなるような内容であった。
昨年、ゴールドアクターの再生を託された横山典騎手は宝塚記念では2着に持ってきており、好走した要因については「伸び切った感じでフォームが崩れていた。もっと前を起こして走らないとトモが入ってこないと思っていた」とコメントし、厩務員に歩かせ方や普段の動かし方について助言していたことを明らかにした。馬の成長に大きく貢献した横山騎手の働きは評価できるが、今回の武豊騎手のコメント然り、両者とも馬の動きの悪さを指摘している点からも、厩舎側のそもそもの仕上げ方に問題があったではないかと思えてくるのは筆者だけだろうか。
7ヶ月も態勢が整わなかった点、惨敗したレース内容、鞍上の酷評を見れば、厩舎力が足りなかったからではないかと疑いたくもなる。レース前に「コンディションは良いです」とコメントした厩舎の手腕を問いたい。