クラシックシーズン前に行われる唯一の東京コースでの3歳重賞ということもあって、先々を意識した馬の出走が多い共同通信杯。昨年の勝ち馬スワーヴリチャードはその後ダービーで2着、秋はアルゼンチン共和国杯を優勝するなどの活躍を見せ、一昨年の勝ち馬ディーマジェスティは皐月賞を制するなど、近年は勝ち馬がビッグレースで目覚ましい活躍を見せております。
今年の有望株はハーツクライ産駒のグレイルです。クラシックが楽しみな一頭として昨年の京都2歳Sの際も注目馬として取り上げさせていただきましたが、無傷の2連勝とここまで順調にきております。前走の京都2歳Sでは年末のホープフルSを勝ったタイムフライヤーに競り勝つなど、さっそく素質の片鱗を垣間見せている期待の一頭です。共同通信杯の登録馬16頭中唯一重賞を勝っている馬で、今回の優勝候補の最右翼と見て間違いないでしょう。
今週末は雨予報となっている東京ですが、新馬戦では雨が降り超が付く程の不良馬場でもしっかりとした脚を見せて快勝したグレイルなら、ある程度馬場が渋っても評価を落とすこともないでしょう。
鞍上は引き続きデビューから手綱を握る武豊騎手の予定です。前走のレース後のコメントでは「強かったですね。直線も手前をかえなかったように、まだしっかりしていないところがありますが、その中でもこれだけの走りをしてくれましたからね。前回は道悪をこなして、今回は良馬場で勝ってくれましたし、素質を感じます。」と、大ベテランもその素質を買っている様子。
しかし、コメントにもあるようにまだ走りには幼さも見える3歳馬。スピードとパワーは世代の中では高いレベルにありそうですが、キレ味比べや瞬発力勝負の競馬ではまだ未知数。初の東京コースで2000mから1ハロンの距離短縮、斤量はメンバー中一番重い57キロと気がかりな点も多く、相手にはホープフルSで3着だったステイフーリッシュや、未勝利と500万下を連勝したゴーフォザサミットなど骨のありそうなメンバーも揃っております。昨年秋からどれだけ成長したのかは楽しみではありますが、まだまだ直接対決をしていない明け3歳ということで力関係まだ定まらぬ前提で臨みたいところです。
とは言え、昨年から続くハーツクライ産駒の活躍ぶりには目を見張る物があります。先でも記したスワーヴリチャードを筆頭に、クラシック1冠目の桜花賞で2着だったリスグラシュー、クイーンCを好内容で勝ったアドマイヤミヤビなど、昨年の3歳世代はハーツクライ産駒が当たり年と呼ばれるほど春先から好素質馬が現れました。桜花賞2着のリスグラシューは先週の東京新聞杯を制しており、土日で5頭ものハーツクライ産駒が馬券に絡むなど、今年に入っても産駒の勢いは続いております。今週はグレイルにゴーフォザサミットと人気上位2頭がハーツクライ産駒です。同産駒の2週連続重賞Vもかかっているだけに、注目の一戦となりそうです。