ノンコノユメ、芝参戦の可能性はあるのか?トワイニング産駒の成績から適性を分析してみた

先週のフェブラリーSでノンコノユメが復活Vを果たし、歓喜したファンも少なくないのではないでしょうか。

同馬は4歳の夏に去勢後、6戦するも勝ち星をあげれず、前走の根岸Sでは2年3か月ぶりの勝利を挙げ、コースレコードで見事なカムバックを果たしました。そして迎えたフェブラリーSではダート界の頂点へ。鞍上の内田騎手は2014年にヴィルシーナで制したヴィクトリアマイル以来、実に4年ぶりのG1勝ちとなりました。陣営にとって、騎手にとって、そして長年ノンコノユメを追い続けてきたファンにとっても感動的な勝利となりました。

しかし、レース後にオーナーの山田和正氏が「今回勝てたのはうれしいが、私は欲があるから今後も頑張ってくれると思う」「今後は芝参戦もなきにしもあらず。脚が大丈夫なら、ですね。」とコメントし、芝へ参戦する可能性を示唆したことで、一部のファンの間で議論になっているようです。インターネットの某掲示板では「欲張らないでくれ 」「怪我するぞ」と否定的な意見がある一方で、「極端な高速馬場じゃなければ芝でも十分やれると思う」「府中の直線は合いそう」といった期待の声も見られました。

フェブラリーSの東京のダート1600mは芝スタートのコースですが、スタートはなかなかいき脚がつかず、いつも通り後方からの競馬となりました。ゲートがもともと上手い馬ではないので芝スタートが原因で位置取りが悪くなったとは言い切れませんが、個人的には芝への適性が高い印象というのは無い馬でした。

しかし、過去にはスノードラゴン、リアファル、アグネスデジタルのように、ダート馬が芝で活躍するパターンも全く無いわけではありません。ノンコノユメはスタートもコーナーも決して上手い馬ではありませんが、直線では必ず伸びてくるので、インターネットの掲示板で指摘されていたように、直線の長い府中や高速馬場でない芝なら伸びてくるのではないかと期待したくなる気持ちも分からなくもありません。

「トワイニング産駒」の過去10年の成績から分析

血統面ではどうでしょうか?ノンコノユメは父トワイニング、母ノンコ、母父アグネスタキオンという血統。トワイニング産駒の過去10年の芝・ダートの成績をもとに分析してみたいと思います。

ダート・芝別成績

コース種類 成績 勝率 連対率 複勝率
30-38-41-629 4.1% 9.2% 14.8%
ダート 96-100-81-1072 9.3% 20.4% 30.6%

クラス別成績(芝)

クラス 成績 勝率 連対率 複勝率
新馬 5-5-5-56 7.0% 14.1% 21.1%
未勝利 10-11-14-260 3.4% 7.1% 11.9%
500万下 9-11-11-128 5.7% 12.6% 19.5%
1000万下 4-4-5-98 3.6% 7.2% 11.7%
1600万下 0-0-0-32 0.0% 0.0% 0.0%
G3 0-3-2-20 0.0% 12.0% 20.0%
G2 1-0-0-5 16.7% 16.7% 16.7%
G1 0-0-0-4 0.0% 0.0% 0.0%

クラス別成績(ダート)

クラス 成績 勝率 連対率 複勝率
新馬 6-3-2-52 9.5% 14.3% 17.5%
未勝利 26-33-28-418 5.1% 11.7% 17.2%
500万下 35-26-28-346 8.0% 14.0% 20.5%
1000万下 19-20-12-145 9.7% 19.9% 20.5%
1600万下 6-14-9-66 6.3% 21.1% 30.5%
G3 3-0-0-11 21.4% 21.4% 21.4%
G2 0-0-0-1 0.0% 0.0% 0.0%
G1 0-2-0-3 0.0% 40.0% 40.0%

競馬場別成績(芝)

競馬場 成績 勝率 連対率 複勝率
札幌 2-2-4-36 4.5% 9.1% 18.2%
函館 0-3-3-27 0.0% 9.1% 18.2%
福島 6-4-3-73 7.0% 11.6% 15.1%
新潟 3-8-8-110 2.3% 8.5% 14.7%
東京 5-2-5-57 7.2% 10.1% 17.4%
中山 3-6-3-85 3.1% 9.3% 12.4%
中京 1-6-3-46 1.8% 12.5% 17.9%
京都 3-5-7-56 4.2% 11.3% 21.1%
阪神 2-0-3-64 2.9% 2.9% 7.2%
小倉 5-2-2-75 6.0% 8.3% 10.7%

競馬場別成績(ダート)

競馬場 成績 勝率 連対率 複勝率
札幌 3-7-7-40 5.3% 17.5% 29.8%
函館 4-3-1-32 10.0% 17.5% 20.0%
福島 4-3-3-72 4.9% 8.5% 12.2%
新潟 9-9-8-108 6.7% 13.4% 19.4%
東京 21-24-10-174 9.2% 19.7% 24.0%
中山 21-18-9-196 8.6% 16.0% 19.7%
中京 6-8-9-100 4.9% 11.4% 18.7%
京都 19-13-14-146 10.4% 17.6% 25.3%
阪神 8-10-14-146 4.5% 10.1% 18.0%
小倉 1-5-6-68 1.3% 7.5% 15.0%

※上記の全データは2008.2.23~2017.12.3のデータとなります。

トワイニング産駒自体が減少傾向にあるので、データの信憑性には多少の不安がありますが、やはり芝よりもダートの方が好走している傾向が見て取れます。クラス別で見ても、芝では1000万で苦戦しているのに対し、ダートでは重賞3勝、G1でも連対が2回と実績に大きな差があるのが分かります。

芝を試すなら「東京」か「福島」がベスト?

競馬場別のデータを見ると、「東京」と「福島」で好走しております。直線が長い東京コースは合いそうですが、独特の起伏を有している福島コースの成績が良いのは面白い発見でした。

3~4コーナーにスパイラルカーブが導入されている福島では、曲線部分でもスピードが落ちにくいといった特徴があり、また、福島が開催される夏の時期などは梅雨の季節と重なるため、馬場の悪化が著しく、重い馬場になりやすいといった特徴があるのもポイントとなりそうです。

東京なら次の開催は4月末。マイル路線ならNHKマイルCや安田記念がありますが、データ的には全く裏付けがなく、いきなり芝のG1で好走するというのも現実的では無さそうですね。何れにせよ、長い不振を打破して復活したばかりです。オーナーの欲だけでこの馬の先を潰すようなことだけはしてほしくないものです。