今週からは中山競馬が開催、日曜のメインを飾るのは「中山記念」だ。中山の芝1800mは、スタンド前の直線ゴール手前からスタートし、1コーナーまでの距離は205mと短く、さらに緩やかな上り坂になっている。序盤のコース形状からもペースは速くなりにくく、コーナー4つを回ることからも、逃げ・先行が有利となりやすいのが特徴の一つである。
中山記念の過去10年のデータを見てみても、逃げ馬は「0-2-2-6」と勝ち星こそ挙げれていないが、複勝率は40%と逃げ馬の成績としてはまずまずの成績と言える。今年の中山記念は、逃げる可能性の高い馬が3頭出走を予定している。マルターズアポジー、マイネルハニー、アエロリットの3頭だ。
中でも高い確率でハナを切りそうなのがマルターズアポジーだ。これまでデビューから24戦走ってきて、その全てのレースでハナを切っている生粋の逃げ馬である。重賞も逃げ切って3勝しており、その内訳も新潟1600m、小倉1800m、福島2000mと、距離やコースが違ってもお構いなしだ。嵌れば来る。そんな馬である。
面白いのが、勝利したこの3戦全てにマイネルハニーも出走していたという点。「先輩の前を走るなんて恐れ多い」と言わんばかりに番手につけて負けているのだが、マイネルハニーも通算21戦中11戦を逃げている立派な逃げ馬だ。ただ、得意のロケットスタートが武器のマルターズアポジーの前に出るのは至難の業。今回も番手につけていくしかなさそうだ。
そして3頭目のアエロリット。ハナを切って逃げたのは2走前のクイーンSのみだが、3走前のNHKマイルCでは外枠からでも好発を切って番手から進め、直線で抜け出し優勝し、G1初制覇を達成。淀みないペースで流れ、アエロリットにとっておあつらえ向きのレースとなった。逃げても番手でも大崩れしないのがこの馬の強みだ。
逃げ馬3頭が揃ったとは言え、何が何でも逃げたいマルターズアポジーとは競りたくないだろうし、やはり今回もマルターズアポジーがハナを切っていくのが濃厚だろう。今回マルターズアポジーは主戦の武士沢友治騎手から柴田善臣騎手に乗り替わるという点は多少気がかりではあるが、10頭という少頭数にも関わらず前へ行きたい馬がこれだけいるなら、ペースが遅くなるということは考え難いのではないだろうか。
上記では中山芝1800mはコース形態上スローになりやすいと記したが、10頭立てで前へ行きたい馬がこれだけいるとなると、開幕週でも差し・追い込みが決まる可能性もある。今回は中山巧者のM.デムーロ騎手と皐月賞2着馬のペルシアンナイトという最強コンビも出走しており、ペースが早くなればこの馬にもってこいの展開にもなってきそうだ。
データ的には逃げ馬が残るケースも多いレース故、行った行ったの展開で組んで見るのも面白そうだし、早いペースになった場合で予想してみるのも良さそうだ。何れにせよ、逃げ馬は多くとも行くのはマルターズアポジーだとわかっていれば、展開の予想は立てやすいだろう。