この時期はダートのトップクラスがサウジへ遠征する流れが近年は目立っており、今年も連覇の偉業がかかっていたカフェファラオがサウジCを選択。ギルデッドミラーが直前で引退・回避が決まり、今年は少々寂しいメンバー構成となっている。
そんな中で注目を集めそうなのは、前走根岸Sを快勝したレモンポップだ。ここまでのキャリア10戦は7勝、2着3回でオール連対と好成績で、堅実な先行力と安定した伸び脚で最後は必ず上位争いを演じてくれる素質馬だ。
今回と同舞台となる2走前の武蔵野Sでは、ゴール前でギルデッドミラーに交わされての2着惜敗。ライバルと再戦するここはリベンジ達成といきたいところだが、そのライバルは不在ということでここは最上位の存在となるだろう。
このメンバーでは相手との力関係において最上位の存在であることは容易に想像がつくが、問題は相手ではなく“距離”だろう。東京コースは8戦して7勝2着1回と好成績で、7勝のうち5勝は1400m戦だ。マイルよりは1400mの方があっている印象があり、1Fの距離延長さえ克服できれば勝ち切る競馬もできるだろう。
得意の東京コースでは大きく崩れる姿は想像しにくいものの、今回は初の58kgと斤量を背負うので、経験の薄いマイル戦で勝ち切るのは難しいと判断するファンも少なくなさそうだ。また、鞍上が戸崎騎手から坂井瑠星騎手へと乗り替わる点も気がかりだ。乗りなれた主戦騎手の戸崎騎手は先約でドライスタウトへ騎乗ということで、同馬を知り尽くした騎手からテン乗りの騎手へ乗り変わるのは割り引き材料となる。脚を溜める競馬の上手さがあるイメージはあまり無い騎手なので、個人的にここはプラス材料とは捉えにくいところ。
これまでの安定感と舞台適性の高さは大きな魅力だが、斤量、乗り替わり、距離と不安材料も少なくない。今回のメンバー構成なら1倍台の人気を集めてもおかしくない1頭なだけに、信頼しすぎるのも危険かもしれない。