阪神の土曜9Rは芝2200mで行われるリステッド競走「すみれステークス」が開催。昨年3着のヴェローナシチーは後の京都新聞杯で2着、21年の覇者ディープモンスターは続く菊花賞で5着、20年の2着馬アリストテレスは菊花賞・2着、アメリカJCC優勝など、後の中長距離重賞戦線の活躍馬を多く輩出しているレースだ。

過去10年の勝ち馬は10頭中6頭が4コーナーで2番手以内だった馬で、前目から押し切る競馬が結果に繋がりやすいレースとなっている。例年頭数が揃わないことの影響も大きそうだが、今年も6頭立ての少頭数ということで逃げ・先行馬から狙っていきたい。

今年のメンバーで言えば、前走中京芝2000mの未勝利戦を勝ったシャザーンだろう。レースは番手先行から緩やかなペースで楽に追走し、直線は外へ出されてスパート。重馬場ながらメンバー最速の上がり34秒6の脚で逃げ馬を差し切って快勝した。デビューしたのが昨年7月の新潟で、前走は約5ヶ月半ぶりと久々だったが、全く危なげない競馬で勝ちきる見事な競馬であった。馬体もプラス12kgと大幅に増えていたが、これも成長分と捉えて良い。状態面の上積みも十分に見込め、いよいよここから上昇していくというという気配を感じさせてくれる1頭だ。

デビュー戦は新潟の1800mで2着、前走の未勝利戦は中京の2000mで1着と徐々に距離を伸ばして結果を出してきているのも好感が持てる。初の阪神コースで距離も1F延長の2200mと初の条件となるが、同コースは最初のコーナーまで約525mと序盤のポジション取りはしやすいコース形態だ。この頭数ならスムーズに前につけて自分の競馬も展開しやすいはずだ。最後の直線には高低差1.8mの急坂が待ち構えているが、ここも中京の坂で見せたしまいの脚を見る限り、問題はないだろう。

21年のセレクトセール1歳セリで2億4200万円の高額で落札されており、もともと高い素質が見込まれていた馬。母クイーンズリングは16年のエリザベス女王杯の覇者で、17年の有馬記念でも2着に好走した実績馬で、非根幹距離巧者でもある。母の良い部分が受け継がれている印象も強く、血統的にもこの距離はこなせる可能性は高い。

舞台と相性の良い先行脚質、休み明けを叩かれた上積み、血統背景の後押しと好条件は十分に揃っている。将来性を秘めた素質馬という点も含めて、ここはシャザーンを中心視したい。