3月1日は伝統の牝馬ダート重賞「エンプレス杯」(Jpn2、ダ2100m)が川崎競馬場で行われる。ここで結果を残した牝馬は後のかしわ記念や帝王賞といった大舞台に向かうことも少なくなく、ダート路線を行く牝馬にとっては大事なステップレースとなる。
今年の主役は昨年のJBCレディスクラシックで新女王に輝いたヴァレーデラルナが最有力か。大外枠ながら完璧にスタートを決め、2番手外まで出していく岩田望来騎手の好騎乗と、一歩目から力の違いを感じさせる馬のパワフルな走法が目立った。後半もサルサディオーネにプレッシャーを掛けつつ、ショウナンナデシコを終始塞ぐ完璧な騎乗。思い切りのいい積極策で勝利を掴み取った。
年明け初戦の前走TCK女王盃は勝ち馬グランブリッジの決め手に屈したものの、1馬身差としぶとく粘った。逃げ馬を行かせて単独2番手と、序盤から理想的な入り。後ろのプレッシャーも少なく、そのままスムーズな進路取りで2着に入線した。その点では勝ち馬の強さがより引き立つが、初の大井、初の斤量56kgを克服し、休み明けでも大崩れしなかったのは地力が高い証拠だろう。
今回1度使われた上積みは十分。川崎コースも今回初となるが、小回り向きの器用さがあるのでさほど不安視する必要もないだろう。
前走で負かされたグランブリッジとのリベンジマッチとなるが、いい目標にされてしまったかたち。川崎の2100mはコーナーを6度もまわるタイトなコースで緩急の付いた競馬になりやすく、息も入れやすい。求められるのは“コーナリングの器用さ”で、前で競馬する逃げや先行馬が粘りやすい舞台だ。
グランブリッジは昨年川崎2100mの関東オークスを制しており、コース実績的に見ればこちらの方がより信頼できそうだが、同レース後に鞍上の福永騎手が「番手を取れたのが一番の勝因」とコメントしているように、先行有利なコースに道悪馬場というファクターが加わった中で番手を取れたのが大きなアドバンテージとなった。今回ヴァレーデラルナがいる中で同じ競馬ができるとも限らない。大回りの大井ではグランブリッジに軍配が上がったが、小回り川崎が舞台なら逆襲があっても不思議ではないだろう。
同世代で1勝1敗と鎬を削るライバル関係の間柄。今回も2頭の攻防から目が離せない一戦となりそうだ。