【競馬】ゴールドアクター有馬記念優勝に隠されたドラマとは?

昨年の有馬記念を優勝して晴れてG1ホースとなったゴールドアクター。経験の少ない厩舎と騎手だが有馬記念で優勝したことで一躍その名を知らしめた。有馬記念の前走で出世レースと言われるアルゼンチン共和国杯を優勝したこともあってか順調に出世街道を進んでいっている。しかし、ゴールドアクターが有馬記念という大舞台で優勝できたことの背景には「出世レースを勝ったから勝てた」などといったジンクスまがいのものではなく、しっかりとしたドラマがあったのだ。

ゴールドアクター優勝は、なるべくしてなった?

同馬の手綱を握った吉田隼人騎手は11月末に他馬に蹴られて膝を骨折し、有馬記念の前週も騎乗なしで、本番は一体誰が騎乗するのか?という懸念があった。しかし、有馬記念当日までになんとか復帰を間に合わせ、主戦騎手としてしっかりとその役割を果たした。有馬記念までの近7戦で手綱を握っていた吉田騎手としてはこれまでのレースで結果を出して掴みとったチャンスであり、是が非でも乗りたいという気持ちがあったのだろう。乗せ続けた調教師の中川師にとっても馬と騎手には特別な想いがあったに違いない。

そもそもゴールドアクターという馬はファン投票上位には選ばれず出走自体が危ぶまれていたのだが、賞金順でなんとか出走が叶った格好だった。主戦騎手は怪我を乗り越えてなんとか本番に間に合わせ、出走自体もギリギリのところで叶ったかたちであった。何もかもがギリギリのところであったがその後は除々に事が順調に進んでいく。枠番も4枠7番と好枠を引けた。先行して前で競馬をするゴールドアクターにとって真ん中より内目の枠を引けたことは大きかった。その結果、想定通り前目でスムーズに競馬ができ、吉田騎手も馬の力を最大限に発揮させることが出来た。

騎手、馬、陣営が一丸となって大舞台への出走のチャンスを掴み取り、最後は運までも味方につけて優勝を果たした。全てが噛み合ったのだ。これをドラマと言わずして何というのか。

有馬記念を優勝した吉田騎手は表彰式後の共同記者会見で開口一番に「実感がまだわかない」とコメントした。デビュー12年目にして掴んだ初めてのG1だ。そう感じるのも無理はないだろう。しかし最後には「来年もこのコンビで、競馬にはロマンがあるということをファンのみなさんに見せていきたい」という力強いコメントを残してさらなる飛躍を誓った。

今年の展望に関しては調教師の中川師は天皇賞・春を目標にすると明言しいる。名馬ゴールドシップが引退し、ゴールドの名を引き続くようにして現れた第二のゴールドに期待は高まる。今年の中・長距離戦は非常に楽しみな一年になりそうだ。