阪神最終週の日曜メインを飾るのはダートG3の「アンタレスS」。G1のステップというわけでもなく、レースの位置付けがイマイチよく分からないという印象がありますが、歴代勝ち馬を見てみると、このレースを制した後に次走のかしわ記念を皮切りに国内のG1・Jpn1競走で計10勝をマークしたホッコータルマエや、このレースを勝利後にチャンピオンズCで2着に入着した2014年の優勝馬ナムラビクター、2016年のJBCクラシックで1着をとった同年の勝ち馬アウォーディーなどがおり、古馬中長距離戦線につながっていく重要な一戦とも言えます。
さて、今年のアンタレスSですが、今回最大の注目馬はなんと言っても昨年の5月ぶりの出走となるグレイトパールでしょう。最後に出走した平安Sでは、中団から競馬を進め、中盤で外から上がっていき、直線では4馬身差の圧勝。ハイペースの中でも押し上げて、前をしっかり交わして大差をつけて完勝という非常に強い勝ち方で重賞初勝利を収め、怒涛の5連勝を達成。今後のダート界を牽引する存在になり得る一頭として大きく注目を集めました。
しかし、平安S後は右第1指骨剥離骨折を発症。6ヶ月以上の休養が発表され、長期休養を余儀なくされます。昨年秋には帰厩しており、12月に開催されるダートG1・チャンピオンズCでの復帰を視野に入れておりましたが、これも結局見送りとなりました。陣営の慎重ぶりからも期待感の高い一頭であることが伺えます。
今回のアンタレスSは満を持しての復帰戦となります。約11ヶ月の休み明けということで長いブランクを不安視するファンも少なくないと思いますが、テイエムジンソクや、ケイティブレイブ、クリソライト、グレンツェントといった現在ダート界で活躍している重賞馬を子供扱いし、怪物とも称された馬です。復帰を楽しみにしているファンも多く、かつての活躍ぶりからも期待感の方がはるかに高いのではないでしょうか。
相手には、昨年韓国のG1・コリアCを優勝したロンドンタウンや、JBCクラシック・3着のミツバなどがおりますが、これまで戦ってきた相手を考えれば苦戦するような相手ではなく、オッズ的に1番人気には骨折明け復帰戦でもグレイトパールが支持されそうなメンバー構成となっております。長期休養明けの馬は調整半分くらいの気持ちで本気で仕上げてきていないケースも多く、格下相手に戦わせる事が多いのですが、今回のグレイトパールはまさにそんなケース。まずは様子見といったところでしょう。
能力の高さは間違いなく一線級ですが、調整と予想が難しい長期休養明けは扱いも慎重にならざるを得ません。骨折明けだから外すといった予想はしませんが、大きな勝負は控えたいと思います。降級のタイミングで収得賞金は半分になっており、賞金的にも今年は秋までG1はおあずけ。G1戦線での活躍が見たいだけに、復帰後は順調に階段を上っていってほしいところです。