競馬ファンなら「一口馬主」という言葉を一度は耳にしたことがあるはずだ。聞いたことがないという方は、競馬の楽しみ方の一つと理解していただければいいかと思う。詳しく説明すると、一口馬主とはクラブ法人から1頭の競走馬を40~500口程度に分割したものを出資するもので、馬に投資して間接的に馬主になれるというシステムだ。馬券を購入して競馬を楽しむ以外にもこういった競馬の楽しみ方があるのだ。馬券を購入するだけに飽きた、なんて方は一口馬主になって競馬を楽しんでみるというのもいいかもしれない。
かつてG1を6勝した名馬・オルフェーヴルも一口馬主を募集しており、当時一口150万円という価格で売られていた。賞金額は13億円以上で一口出資していれば1600万円以上が得られる計算らしい。まるで夢の様な話である。オルフェーヴルは一口150万円だったが、一口数万円から売られている馬もいるので決して手が出ないほど高額ということでもない。国内外のレースを合わせるとG1を6勝もしている名馬・ロードカナロアなどは一口5万円台だったらしいので収支は大幅にプラスである。
愛馬が勝てば賞金の一部が配当として受け取れるので一口馬主は夢のある投資としても人気だ。しかし一口馬主の人はお金ではなく、夢とロマンを求めて心の底から一口馬主ライフを楽しんでいる方が多い。一体一口馬主にはどんな魅力があるのだろうか?
一口馬主の魅力とは?
一口馬主の楽しみ方には個人差はあるだろうが、共通していることが一つある。それは愛馬と共に一喜一憂する楽しみを味わう感覚だ。好きな馬の馬券を買って応援するのだって同じじゃないか、と言う人もいるかもしれないが、馬主感覚を味わえる一口馬主は絶対に馬券を買うだけでは味わえることのできない感覚がある。実際に走っている姿を見る、見ないに関わらず良い成績を収めると嬉しいし、怪我をすると同じように悲しい思いをする。レースに勝てば賞金だって口数に応じて会員に分配される。さらに直接馬に会いに行けたり、クラブから近況の情報が配信されたりと、応援する馬との距離がとても近く身近な存在として感じることができるのだ。
また、愛馬の活躍だけのことを考えると「POG」を引き合いに出されることが多い。POGとは友人同士でデビュー前の競走馬を指名し、その馬の成績を追って一喜一憂していくものである。内容は似てはいるが、やはり現実とゲームでは違う。まず、POGの多くは仲間内だけで行なわれることが多く、ルールに則って期間が決められている。一口馬主だと100口だとか500口だとかそれぐらいの人数しかおらず、自分だけの愛馬であり、現実的にお金を支払ったり配当を受けたりしているのでリアルさが違う。ゲームとしてワイワイ楽しむのも良いが、よりリアルな体験をできる方が魅力が高いと言えるのではないだろうか。
一口馬主はデビュー前の仔馬時代から応援!
一口馬主の多くはデビューするもっと前の当歳の頃から出資することが多い。競馬ファンの多くはデビュー済みの馬を応援することになるが、一口馬主は生まれたすぐ頃から愛馬と接しており愛着が違ったものとなる。出資した時には幼かった仔馬が、デビューするまでの準備期間でどんどん大人の馬体に成長していき、その姿がクラブから写真や動画で送られてくる、あるいはクラブ主催のツアーや個人旅行などで北海道の牧場まで直接会いに行くことで愛馬の成長を実感できる。いつデビューするのか、どんなトレーニングするのか、どんな活躍ができるかといったワクワクやドキドキを体験でき、想像する楽しみがある。2歳になってトレーニングセンターに入厩してからも調教レポートが届き、デビューするまでのワクワクドキドキを体験することができる。
デビュー戦なんかはまるで我が子の運動会を見ているようだと言われるように真剣に応援し、もちろん馬券を買うこともあっていつも以上に応援に力が入るだろう。レースに優勝すれば表彰式に出ることも可能であり、普通では味わえない体験ができる。賞金が得られれば配当金を受けることができ、二重の喜びとなる。
このように一口馬主は普通の馬券購入や応援では体験できないようなことを体験でき、多くの楽しみがある。デビュー前からデビュー後もさまざまな体験ができ、愛馬が引退する時もさまざまな想いを巡らせることができる。愛馬を所有することによってこんな素晴らしい体験をさせてくれるのだ。競馬自体が大人の趣味ではあるが、中でも一口馬主は「究極の大人の趣味」と言えるのではないだろうか。競馬人生を豊かにしてくれるものとして、そして長く楽しめる趣味として一口馬主ライフを送ってみてはいかがだろうか。