年明け初戦の共同通信杯では先行策から鮮やかに抜け出してきたファントムシーフ。
ホープフルSでは出遅れたが今回はしっかりとスタートを決め、スローペース2番手から伸びての快勝。1800mの切れ勝負に対応したのは収穫。折り合いの不安もなく、もっと長い距離や上がりが掛かる状況の方が合いそうな印象も受けた。
中山コースは2歳G1のホープフルステークスで4着に敗れた舞台。レースは1000m通過が61秒5と、7レースに組まれていた古馬1勝クラスよりも2秒遅いスローペース。1枠1番スタートから出遅れて位置取りを下げるかたちとなり、結果的にこれが最後まで響くかたちとなった。最内の中団で揉まれ続け、最後の最後でやっと抜け出して伸びたが届かずの4着という内容だった。
また、久々のせいか反応も一息。上がりの速い決着では厳しいハービンジャー産駒でもあり、この条件では4着までが精一杯だったと言えよう。
今回も懸念材料として挙げられるのは“中山コース”への適性だ。前走を見る限り瞬発力タイプではなく、ジリジリとスピードを上げていくタイプという印象。跳びは大きいタイプで、直線は長い方が良く、広いコースが合っているのは間違いない。
共同通信杯後には「ダービーの方が合うと思います」と西村調教師もコメントしており、狙うならダービーの方が良いという想いで臨むファンも少なくないだろう。中山が得意なC.ルメール騎手が引き続き手綱を握る点が多少不安を和らげてくれるかもしれないが、この舞台では前走から信頼度が落ちるのは否めない。
個人的には、父ハービンジャーで母系も香港スプリントで活躍するような血統構成から、当初はNHKマイルCで見たい1頭であった。しかし、前走の内容で距離的な不安が消えたのは大きなプラス。アタマで固定するほど高い信頼度を持っているとは言い難いが、能力の高さを考えると圏外に飛ぶ競馬をする可能性も低そうだ。中山コースは決してベスト舞台ではないかもしれないが、前目で競馬さえできれば上位争いには食い込んでくるのではないだろうか。