天皇賞春のような長丁場のレースの予想において筆者が重要視している要素の一つに3コーナーまでの位置取りがある。過去10年の天皇賞春の勝ち馬10頭のうち、5頭は3コーナーで3番手以内だった馬だった(3角位置が3番手以内だった馬【5-2-4-26】)。
過去10年のデータ・傾向を見ると、追い込み馬だけが【0-0-0-45】と全く勝負になっていない。天皇賞春だけに限らず、長距離戦の直線一気はたいてい厳しい。高速馬場になりやすいこの時期の京都ならなおさらだ。序盤で後ろに控えた場合は、2週目の3~4コーナーあたりでポジションを押し上げていく必要がある。これを基準にして考えると、まずゲートで見劣る馬は一気にリスクが大きくなり、割り引き対象となる。
今回は近2戦で3コーナー位置が3番手以内だった馬に焦点を当ててみたいと思う。
近2戦で3コーナー位置が“3番手以内”だった馬6頭
ガンコ
2走前の松籟Sのコーナー通過順位は「3-3-3-2」で1着入線。前走の日経賞では「1-2-2-2」で1着入線。前走の日経賞を制し重賞馬となり、一気に成長を遂げてきた。ゲートも上手く、コントロールも利く馬だ。3000m以上は未経験だが、タイプ的には長い距離も問題なさそう。課題となりそうなのは高速馬場。近走は比較的力の要る馬場で好走しており、もともとダート路線を使ってきた馬で、道悪に強いナカヤマフェスタ産駒ということからも高速馬場適性が最大のポイントとなりそうだ。
クリンチャー
2走前の京都記念のコーナー通過順位は「4-3-2-4」で1着入線。前走の阪神大賞典では「4-4-3-3」で3着に入線。クリンチャーもガンコ同様に道悪で結果を残してきた馬で、極悪馬場を制した菊花賞の印象も強いと思う。皐月賞ではディープスカイ産駒ということで高速馬場を懸念していたが、4着に健闘し良い意味で期待を裏切ってくれた。しかし、同じく高速馬場だった前走の阪神大賞典では先行策をとったものの勝負どころでの反応はもうひとつ、踏ん張って何とか3着という内容だった。高速馬場への対応がやはりカギとなる。
カレンミロティック
2走前の有馬記念のコーナー通過順位は「4-3-3-6」で15着。前走の阪神大賞典では「5-5-6-4」で5着。今年で10歳になり、同競走がラストランという噂も。天皇賞春は2015年に3着、2016年に2着とたびたびG1でも穴をあけてきた先行馬で、今年も内枠に入ったことで怖い存在となりそうだ。昨年の京都大賞典でも2着に入着しており、京都の適性も高い。本当にラストランとなるなら、最後に買っておきたいというファンも少なくなさそうだ。
ミッキーロケット
2走前の日経新春杯のコーナー通過順位は「3-5-4-3」で4着。前走の京都記念では「3-3-2-2」で7着。高速馬場適性はある馬で、先行策での粘り込みが嵌ればこのメンバー相手なら好勝負可能。ただし、それはいつもの中距離路線での話で、今回は3200mという本来は選択しない距離。天皇賞春は今回が初となるが、未知の距離故陣営からは「脚を残せるように出たなりで」というコメントも出ている。前走の日経新春杯でも途中で下げており、積極性に欠ける一面があるので、強くは狙い難い。
ヤマカツライデン
2走前の阪神大賞典のコーナー通過順位は「1-1-1-2」で6着。前走の大阪杯では「1-1-2-2」で11着。高速馬場適性も高く、メンバーの中の逃げ馬候補として注目される一頭。昨年の天皇賞春は飛ばしすぎて17着に大敗。前半無理して飛ばしていき、息は入れれたものの、もう一段脚を引き出そうとした時に持たずに失速してしまった。自分の形に持ち込めさえすればというところではあるので、キタサンブラックも不在で競ってくる馬もいなそう、さらにペース読みが上手い武豊騎手も不在となれば今年はノーマークで行ける可能性が高い。
トミケンスラーヴァ
2走前のアメリカJCCのコーナー通過順位は「2-2-3-7」で8着。前走の阪神大賞典では「3-3-3-4」え10着。力の要る馬場は得意だが、高速馬場はプラス材料というほどでもない。ただ、折り合いに不安がない点は今回の舞台においては好材料。3走前の万葉Sでは楽に前に行きペースをコントロールし、息を入れて長く脚を使い、ダイヤモンドS・2着のリッジマンを破って勝利した。重賞でも通用する力はあるしノーマークとなりそうな今回は見せ場を作ってくれる可能性も。
以上、近2戦で3コーナー位置が3番手以内だった馬6頭を紹介した。枠順も決まり、これから最終的な予想になってくるが、馬場状態も見ながら印を打っていきたい。