今年は新装京都競馬場で春の盾が競われる。生まれ変わった京都で行われる初のG1ということで心を躍らせるファンも少なくないだろう。
今年の主役候補は昨年の覇者・タイトルホルダー。昨年は阪神での開催だったが、前哨戦の日経賞を快勝して弾みを付けて本番圧勝と文句なしの2連勝で完全決着をつけた。さらに続く宝塚記念も快勝して重賞3連勝と、春の中央競馬で一番の勢いを見せたのはこの馬だったと言っても過言ではない。
そして今年も初戦の日経賞から駒を進め、昨年同様のマイペース逃げで8馬身差の圧勝を果たした。昨年は良馬場で57kgを背負ってクビ差だったが、今年は不良馬場で59kgを背負って8馬身差と、昨年以上の圧倒的なパフォーマンスを見せてきた。この勢いなら間違いなく今年も勝ち負けになりそうだ。
とは言え、全く不安が無いとも言い切れない。まずは“京都”は初コースとなる点。最後の直線が短い内回りコースでの好走が目立つ馬で、外回りになり直線も50m延長となる今回はどうか。京都名物の3コーナーの坂は健在で、下り坂となるラストスパートで余力を残してコーナーを攻める競馬もマッチしそうな気配はあれど、昨年とは勝手の違うコース形態に苦戦する可能性も十分ある。
さらに、昨年は前年秋に3000mの菊花賞を経験していたという点も意外にプラスに働いていた可能性もある。今年は昨年の天皇賞春以来、実に1年ぶりに3000m以上を走る。当然ここへ向けて調整してきているのだからこの点は陣営の調整力を信じる他ないが、久々のこの距離をいきなりこなせるかどうか。今回番手にはアクスビクターモアがつけてきそうで、早めにディープボンドも上がってくるスタミナ比べの展開となる可能性も十分。菊花賞を走ってきているアスクビクターモアに、阪神大賞典から駒を進めてきたディープボンドと、近々で3000m以上のレースを走っている2頭が競りかけてくるのは怖い。前走の日経賞はややスタートの切れがいつもより鈍くも感じたので、序盤から目が離せない展開になりそうだ。
不安要素については無理やり挙げればまだまだ出てきそうだが、タイトルホルダーはこれまで幾度となく不安要素を跳ね除けてきた馬であるということも事実。毎回不安要素や過去データを出されて評価を落とすも、それを破るジンクスブレイカーなところがあるのがこの馬の“真の強さ”とも言えよう。今回も不安要素を跳ね除けてあっさり連覇を達成するのか。一時も目が離せない一戦となりそうだ。