今週は3歳マイル王決定戦となる「NHKマイルカップ」が東京競馬場で開催。朝日杯FSの上位組、トライアルを勝って上位浮上してきた馬など、今年も有力マイラー達が名を連ねている。
中でも注目を集めるのは朝日杯FSの覇者、ドルチェモアだ。
秋初戦のサウジアラビアRCを快勝後に朝日杯FSも連勝し、最優秀2歳牡馬に選出された。今後は世代戦や古馬戦で更なる飛躍が期待されている1頭だ。
そして今年初戦の前走ニュージーランドTでは、先行力の高さや立ち回りの巧さから高い中山適性が見込まれ、単勝オッズ1.7倍の断トツ1番人気に推された。しかし、終わってみれば7着凡走。逃げて荒れた内の馬場を通ってしまったのは横山和生騎手の工夫が足りなかったとも言えるが、それにしても負け過ぎな感のあるレースだった。
叩き2戦目で、サウジアラビアRC・1着と同じ舞台となるここは巻き返しの期待十分だが、不安も少なくない。まずは先にも述べた通り、前走の内容が負けすぎであるという点。手応え良くまわってきたが、逃げたにしてもあっさりと捕まっており、直線も全く伸びてこなかった。
こうなると朝日杯FSのレベル自体を疑いたくなってくるが、実際朝日杯組の次走の結果は散々たる結果に終わっている。3・4着馬は共同通信社杯でいずれも着外、5着馬もファルコンSとニュージーランドTで着外。好走しているところをピックアップしても、8着馬が1勝クラス勝ち、16着がリステッド3着というくらいだ。レースレベルがそこまでだとすれば、前走の負けも納得してしまうところはあるかもしれない。
そしてもう一つの懸念が、三浦皇成騎手への乗り替わりだ。前走の横山騎手の騎乗も決して良い内容ではなかったが、G1未勝利の三浦騎手への乗り替わりをプラスと評価するのも難しい。というのも、三浦騎手のG1成績は【0-2-7-100】となっており、G1における信頼度はかなり低い。
とは言え、最高順位の2着は2014年のNHKマイルCでタガノブルグに騎乗した際の順位で、好走するならここという見方もできるだろう。過去10年のデータと傾向を見ても分かるように、NHKマイルCは紛れが起きやすいレースでもあり、伏兵の台頭も度々見られる一戦だ。ここまでの有力馬で挑めるのは三浦騎手にとって大きなチャンスでもあり、本人の本気度も高いはず。
ドルチェモアの能力についてはまだ懐疑的な気持ちがあるのは事実、三浦騎手のG1レースにおける信頼度の低さもデータがしっかりと証明しており買い難さは変わらないが、個人的にはそろそろ悲願のG1初Vを達成してもらいたいと願い応援していた騎手でもあり、三浦騎手がG1初勝利を果たす時はぜひとも彼の騎乗馬の単勝馬券を片手に共に喜びたいとかねてから思っていた。
不安材料が多くここは“危険な人気馬”という見方ができる1頭だが、筆者のように感情を優先して馬券を購入するファンも少なくなさそうだ。何れにせよ、人馬ともに試金石の一戦となることは間違いないだろう。