痛恨の騎乗停止で2つのG1をパスすることになってしまった武豊騎手。6日に停止処分が解除され、今週末からいよいよ復帰となる。日曜に開催されるG1・ヴィクトリアマイルでは1番人気が濃厚なリスグラシューに騎乗予定となっており、逃したG1・2戦を取り返すようなパフォーマンスに期待するファンも少なくないだろう。
G1での勝利ももちろん期待したいところだが、まずは復帰初戦となる土曜メインの京王杯スプリングCに注目したい。騎乗予定馬はダンスディレクター。こちらも上位人気を争う形で支持を集める人気馬だ。
G3のシルクロードS連覇、高松宮記念・4着という実績からも短距離路線では一目置かれる存在だが、東京コースは意外にも2015年のスプリングCに出走した際の1戦のみ(12着)。コース適性だけ見れば、東京での実績が豊富なサトノアレスやグレーターロンドンの方が有力視できそうだ。とは言え、安田記念を目指すならここでの結果は本番を予想する上でも良い判断材料となるだろう。
経験少ない東京コースも、相性抜群の武豊コンビで克服なるか?
左回りは未勝利だが【0-2-1-2】と悪くはない。芝1400mでも【3-4-1-5】という好成績を残してきた。データ意外だと12着に敗れた3年前のスプリングCも参考にしたいところだが、本格化前のレース故に参考にし辛い部分がある。
近走のレースから考察していくしかないが、まずは勝利した昨年のシルクロードSから。このレースでは道中は後方でじっくり脚を溜め、直線で外目に出すと上がり3F33秒1の末脚で先に抜け出したセイウンコウセイをとらえ、鮮やかに差し切って同レース連覇を達成した。
スピードもそうだが、後方からの競馬ということもあり高い持続力が求められたレースで結果を残せたのは高く評価したい。ペースは平均で団子状態となっていたが、そこもしっかりと内で折り合い、仕掛けを我慢し、直線でもしっかりと鞍上の指示通り外へスムーズに誘導されている。
武豊騎手との相性の良さを語る前に、次は2走前の阪神Cを振り返ってみたい。こちらのレースでは、珍しく序盤から前へ行き、道中少し下げたものの3列目の4番手あたりと好位からの競馬で進めていった。高速馬場でハイペース。早い段階で各馬がスピードにのっていた中でもしぶとく伸び、イスラボニータとの叩き合い末、ハナ差の2着に健闘した。
高いレベルのスピード戦でG1馬相手に2着ということも高く評価したいが、何よりも武豊騎手とのコンビで見せるこの馬の機動力や持続力に改めて驚かされた一戦でもあった。
もともとの主戦騎手である浜中俊騎手とのコンビでももちろん実績はあるのだが、阪神Cで見せたような前へ行く競馬や、途中で好位まで下げたり、速い流れの中でも我慢してスムーズに外へ出していくといったコントロールの利く競馬は、浜中騎手とのコンビでは見られなかった競馬だ。
スプリングCは過去の傾向的にはスローが多いが、流れても問題はなく、持続力もある今のダンスディレクターなら東京は向く可能性が高い。コース実績では確かにサトノアレスやグレーターロンドンに劣るが、両馬とも距離短縮で1400mは未経験。サトノアレスは本番の安田記念へ向けたトライアル仕様では狙い辛い部分があるし、グレーターロンドンも忙しくなる1400mでさらに流れたりすれば不安になる。
今年で8歳になり、出走メンバーの中では最高齢のダンスディレクター。それでも近走は常に前評判以上の内容を見せてきた。安田記念を占う意味でも注目したいとは言ったが、狙うならぜひともここで狙ってみたい一頭だ。