今週はいよいよ3歳牝馬クラシック第二弾「オークス(優駿牝馬)」が開催。毎年各馬の“2400m適性”が重要なファクターとして扱われる一戦だ。今年は一冠目の桜花賞を制したリバティアイランドが優勝の最有力候補に目されているが、同馬においてもこの2400mという距離への適性が大きく問われる形となる。
リバティアイランドはデビューから一貫して1600mを使われており、アルテミスS・2着、阪神JFと桜花賞を連勝と、マイル戦で圧倒的なパフォーマンスを見せてきた。2400m未経験はほとんどの馬が当てはまるが、マイラー気質の馬が多い中内田厩舎の所属馬で、経験もマイル戦のみとなると信頼し切るのは危険かもしれない。
オークスは例年道中スローに流れ、直線ヨーイドンの瞬発力勝負になりやすい傾向がある。桜花賞を4コーナー16番手から、ラスト3F32秒9の豪脚で差し切ったリバティアイランドは、上がり最速馬の有力候補となるだろう。舞台適性的にはマッチしそうな気配はあり、やはり距離が一番の懸念材料となる。
マイルのみのキャリアでは分析しにくいが、血統面ではどうだろう。父のドゥラメンテは皐月賞とダービーを制しており、代表産駒のタイトルホルダーは菊花賞や天皇賞・春を制しているように、長いところはこなせそうな気配だ。昨年の桜花賞とオークスを制したスターズオンアースもドゥラメンテ産駒ということで、こなせる下地は十分備わっていると思われる。
ただ、母の系統にはまた違った特徴がある。母ヤンキーローズは芝1400mと芝2000mの豪G1を2勝。そのほか豪2歳短距離王者決定戦のゴールデンスリッパーS(豪G1・芝1200m)で2着と健闘。父がディープインパクトのロムネヤもセレクトセールでいきなり2.1億円の高値がついた期待馬で、1600mのデビュー戦と1800mの1勝クラスを快勝した。いきなりこの実績なら期待度は高い血統だが、母系は2000m以下という印象で、欧州系ということで日本の底力が問われる馬場はどうかという懸念は生まれてくるとも言えるだろう。
現時点では3歳牝馬同士の戦いなら2400mの適性で他馬に大きく劣るということも無いように思えるが、後に母系の血が色濃く出てマイラーに寄っていく可能性もありそうだ。
桜花賞で負かした馬達の中にはここで変わってくる可能性が高そうな馬もいるので、距離延長がそこまで大きなプラスとならなそうなリバティアイランドにとっては、これまで以上に厳しい競馬を強いられる可能性も十分あると考えておいた方がよさそうだ。