3歳牝馬クラシック第二弾「オークス」は今年も好メンバー揃い。今年も当然人気を集めるのは桜花賞の上位組だ。
中でも、阪神JF・桜花賞と連勝を果たし、“2歳女王”、“桜の女王”と二度世代の女王に輝いたリバティアイランドが優勝候補の最右翼として最も注目を集めている。初の2400mを克服できるかどうかの課題は他馬同様にあれど、能力の差であっさり勝ち切るシーンも想像に難くない。桜花賞では単勝オッズ1.6倍の断然人気にしっかりと応えて快勝しており、今回も“一強ムード”が漂っている。
その牙城を崩せる可能性のある馬として今回取り上げたいのが、桜花賞の2着馬コナコーストだ。
こちらは連勝を果たしてきたリバティアイランドとは対象的に、オープンのエルフィンS・2着、G2のチューリップ賞・2着、G1桜花賞でも2着と良い競馬をしつつも勝ちきれない戦績となっている。
デビュー戦から鮫島克駿騎手が同馬の手綱を握ってきたが、今回は初の乗り替わり。短期免許で来日中のD.レーン騎手との新コンビで悲願の勝利を狙うかたちとなる。
この乗り替わりについては意見が分かれるところだろう。騎手としての実績を見れば当然プラスと見れる乗り替わりだ。D.レーン騎手は昨年のオークスでは10番人気のスタニングローズを2着に持ってきており、秋のエリザベス女王杯でも5番人気のウインマリリンで2着、マイルCSでは6番人気のセリフォスを勝利に導き、先週のヴィクトリアマイルでも3番人気のソダシを2着に導いており、下位評価の馬を上位に持ってくる手腕は流石と言える。
とくに昨年の実績は優秀で、オークス・2着、安田記念・3着、宝塚記念・2着、エリザベス女王杯・2着、マイルCS・1着、ジャパンC・3着と中央を代表する数々のG1レースで爪痕を残している。大舞台に強い彼を乗せられることが出来るなら、迷わず乗せるのが英断と考えるファンは少なくないはずだ。
ただ一方で、これまでコナコーストの背中を見てきた鮫島騎手をやすやすと切り捨てるのは如何なものか、と考えるファンも少なからずいるはずだ。実際、近3戦の連続2着は全て人気以上の成績であり、これまでの騎乗ぶりは文句のつけようがないもの。
とくに前走の桜花賞は非常に好内容。テンに仕掛けるとスッと2番手外を確保し、ラストは逃げ馬を交わして外から来た3着馬を差し返してと、高いパフォーマンスを引き出しての好走。最後は更に外から強襲してきたリバティアイランドに交わされたが、コナコースト自身もラスト1Fは11秒8とペースを考えればかなり良い脚を使えている。この競馬で2着を演じてくれた馬の能力と、それを引き出してくれた鮫島騎手のパフォーマンスは高く評価すべきだろう。
コナコースト自身はズブいところがあり、少々乗り難しいところがある馬。押しすぎては掛かってしまう可能性があり、このあたりのバランス感覚は乗りなれた鮫島騎手の方がアドバンテージを持っているように感じる。エルフィンSでは後方でズブさを見せ、チューリップ賞ではそれを修正して押していき、かからないように途中で下げる競馬を展開し、ラストでもズブさを見せていた。そして前走の桜花賞ではさらに修正して思い切って先行と、アジャストしながらもしっかりと結果を出し続けている。
乗り替わりが推奨されるような悪い騎乗は無く、むしろ次走へ期待が高まる内容だっただけに、この乗り替わりが結果として悪手になっての敗退となる可能性も十分考えられるだろう。
追い切りやレース当日のパドックや返し馬の様子をしっかりと見て判断したいところだ。