桜花賞に続く牝馬三冠レースの第2弾、今年で第79回を数える優駿牝馬(オークス)で最有力候補となっているのが初戦の桜花賞で圧巻のパフォーマンスを見せて勝利したアーモンドアイだ。桜花賞ではレースレコードを塗り替えるタイムで勝利したが、特に見ものだったのはその末脚だ。2着に入った2歳女王ラッキーライラックの走りも決して悪いものではなかったが、アーモンドアイの差しに前脚も後脚も出なかった。
そして、特筆すべきはアーモンドアイの鞍上C.ルメール騎手の振る舞いにある。最後の直線でもアーモンドアイの鞍上はただ手綱を握ったままステッキを振るうことなく、他の馬が上がり3F34秒台が精一杯のなか1頭だけ33.2秒であがってきた。新馬戦や条件戦ではなく、G1の、しかもクラシックという大舞台でルメール騎手に勝利の確信を持たせるだけの馬だったということだ。
実地でその強さを見せているだけに今更語るものでもないのかもしれないが、父はスプリントで世界に名を馳せたロードカナロアで、母フサイチパンドラはオークスで2着、その年のエリザベス女王杯を制した実力馬と、血統だけをみても超一流だ。
桜花賞での2番人気は1番人気ラッキーライラックが申し分のない成績での参戦だったのに引き換え、アーモンドアイは新馬戦で2着、前走のシンザン記念から3ヶ月の休養を挟んでのものだったため致し方ない部分もあるが、今回は1番人気となり全ての馬からマークされることは避けられないだろう。
懸念点としては父ロードカナロアが新種牡馬であり、自身の戦績が短距離に集中していることから2400mへの対応がどの程度できるかが未知数であるということ。そして、後方から競馬をするアーモンドアイを各陣営が意識するあまりスローペースがすぎると前残りになってしまいかねないという点。
対抗馬の筆頭となるラッキーライラックも父オルフェーヴルが新種牡馬という点が共通しているため、予想は困難を極める。父同士の距離適性で言えばラッキーライラックに軍配はあがるはずだが所詮は傾向であり絶対ではない。距離適性の面からもアーモンドアイにとっては秋華賞よりも鬼門になるのがオークスであろうことを考えると、ここで勝利すると三冠までかなり現実的なレベルで見えてくる。レースとしては非常に見応えのあるものとなりそうだ。