「馬7、騎手3」は本当?真剣に考えてみた

「馬7:騎手3」という言葉がある。競馬の予想をしていると度々耳にする言葉だが、皆さん聞いたことはあるだろうか?これはレースにおける馬と騎手の重要度を表す比率であり、競馬の格言として昔から言われてきた。実際に走っているのは馬なのだから確かに7割馬の力と聞いても納得する部分はあるが・・・厳しい訓練を経て、狭き門を突破し、選ばれた者しかなれないジョッキーである。その重要度が3割程度しかないと聞くと、あまりに低すぎないだろうか?と疑いたくなる。果たしてこの割合は本当なのだろうか?今回はこの「馬7:騎手3」という言葉の信憑性について考えてみたいと思う。

一流になると技術の差はほとんどなくなる

某有名騎手が以前、「5年もやれば、技術の差はほとんどなくなる。問題は、良い馬に乗れるかどうかだ」というコメントを残している。確かに、どんなスポーツでも一流騎手になれば技術の差はほとんどなくなってくると聞く。技術以外の「戦法」だったり、レースに対する「気持ち」などが差を生むのだと言う。そこまで騎手としての技術レベルが拮抗しているのなら、馬の力というのは確かに相当大きなウェイトを占めることだろう。「馬7:騎手3」といのはあながち間違ってはいないかもしれない。

「騎手の技量」とは何なのだろうか?

しかし、何だか腑に落ちないのはこれまで名騎手による巧妙な作戦がハマって勝ったレースや、見事な手綱捌きが光ったレースなどをたくさん見てきたからだろうか。このような騎手の活躍が記憶に残るレースも、3割程度しか勝敗に影響を及ぼしていなかったのかと思うとレースが少し薄っぺらく思えてきてしまう。

そもそも「騎手の技量」とは何なのだろうか?競走中における騎手の仕事は、競走馬を正しく操縦して決勝線に到達するまで可能な限り全能力を発揮させることであると言えよう。ということは逆に、馬が全能力を発揮するかどうかは少なくとも3割は騎手の技量にかかっていると考えれば、競走馬の能力差が少しぐらいであれば騎手の腕ひとつで逆転できるということが言える。競走馬の力が拮抗しているレースなどで騎手を基準にして予想を組んだりすることがあるが、やはりこれは効果的な予想法の一つなのだ。

近代競馬においては戦略や駆け引きなどがレースの勝敗を左右することが多くなり、騎手の力の占める割合は昔に比べて大きくなってきているのではないだろうかと筆者は考えているが、それが確実と言えるくらいにジョッキー達の今後のさらなる活躍に期待したい。