昨年の最優秀2歳牡馬ダノンプレミアムが今年のダービーにも1番人気に推されての出走となりそうだ。下馬評でも断然No.1評価を受けながら、挫跖により無念の回避となった皐月賞からなんとか持ち直し今回の大一番へ間に合わせてくれた。
過去のレースを見ても、好位で競馬をしながら上がりも垂れることなく最後までいい脚で走り抜ける様は3歳にして既に王者の風格も漂うが、やはり気になるのは挫跖の影響。追い切りを見る限りでは特に問題はなさそうだが、復帰後ぶっつけ本番というのは当然プラス要因にはなりえない。
そして、何よりもダノンプレミアムのダービー制覇に向けて影を落とすデータが、朝日杯フューチュリティステークス勝ち馬のダービーでの戦績にある。ホープフルステークスが加わるまでは2歳牡馬の出走できる唯一のG1であり、朝日杯FS勝ち馬=その世代のチャンピオンという考え方が一般的であった点は言うまでもない。
そういった意味では世代王者の決定戦である日本ダービーとの結びつきは強そうに見えるものの、最後に朝日杯FSを勝利したダービー馬というのはシャドーロールの怪物とも言われた三冠馬ナリタブライアンまで24世代も遡ることになる。
ナリタブライアン以降もディープインパクト、オルフェーヴルといった三冠馬が誕生しているがどちらも朝日杯FSには出走していないため、もしかしたら三冠馬クラスのサラブレッドであれば達成できる壁なのかもしれない。皐月賞には出られなかったため、あいにくダノンプレミアムに三冠馬の資格はないが、歴代三冠馬に肩を並べる存在である可能性はまだ残されているということだ。
恐ろしいことに、怪我明けぶっつけであり、非皐月賞組となってしまったローテーションなど、過去のデータと照らし合わせれば照らし合わせるほどに細くみえてくるはずのダノンプレミアムの勝ち筋が、今なお力強く光を放ち続けている点である。
どれだけデータが積み重なろうが、例外というものはどこにでも起こりうる。ましてや絶対はないと耳にタコができるほど言われ続けている競馬である。本来、大本命を嫌うために使うこの言葉がダノンプレミアムに至っては真逆の用途で使われようとしているのだ。
いつの頃からか三冠も見えると言われてきたダノンプレミアム。実際の戴冠は一冠目が開かれる前から不可能となってしまったが、24年間成し得なかった偉業を達成したとき、出走できなかった皐月賞の無念もある程度は晴らすことが出来るのだろう。答え合わせはすぐそこだ。