今週は牝馬限定のハンデG3「マーメイドS」が開催。とにかく一筋縄ではいかないレースであることは過去のレース決着を見れば明らか。
過去10年の傾向を見ると、穴が絡む頻度はかなり高めだが、それ以上に上位人気の不振ぶりが目立っている。1番人気は過去10年で【1-1-2-6】、2番人気は【0-2-1-7】、3番人気は【1-0-1-8】と散々たる結果に終わっている。穴馬選びも重要だが、まずは上位人気の取捨が重要なポイントとなりそうだ。
今年は菊花賞馬キセキの全妹で前走の福島牝馬Sで2着に好走したビッグリボン、連覇を狙うウインマイティー、2走前の中山牝馬Sで2着のストーリアあたりが上位に推されてきそうだ。
この中でとくに危険視したいのが、昨年の覇者ウインマイティーだ。
昨年は押して好位内をロスなく運んでスムーズに抜け出し快勝。距離短縮ローテで速い時計にも対応してと、強い勝ちっぷりだった。前走の京都記念は6着に敗れたが、4コーナー入り口で前がふさがるまさかの不利があり、態勢を立て直す分で遅れてしまった。スムーズなら結果も違っていた可能性は高い。2戦2勝と好相性の阪神2000mなら、巻き返しの期待も十分と言えよう。
しかし、今年は昨年の54kgから2kg増の56kgで挑戦するかたちとなる。斤量の恩恵が受けられない今年は末脚を伸ばしきれるかどうか。56kgは過去10年で【1-0-1-6】と心許なく、軽ハンデが好走傾向にある。56kgのハンデを背負いながら脚をしっかり溜められるかどうか。最後の末脚を活かせる競馬が序盤から展開できれば、勝機はあるはずだ。
そしてもう一点の懸念が、陣営の臨戦態勢だ。昨年は休養明け初戦で9着、2戦目のリステッド・メトロポリタンSで4着と復権し、叩き3戦目で本番のマーメイドSという流れだった。今年は西園厩舎へ転厩、休養明け緒戦、3戦連続で掲示板外に敗退中と決して良い流れで来ているとは言い難い状況だ。
所属していた五十嵐厩舎が2月末で定年、解散。西園正厩舎に移ってからはCW調教など新パターンの調整も行われており、これが良い方向に働けば当然復活も期待できるが、2022年2月の京都記念をアフリカンゴールドが逃げ切って以来重賞を勝てていない厩舎故に、信頼度を高めるほどの実績はないというのが正直なところだ。
昨年の覇者で舞台適性も高いが、ハンデや臨戦過程など、勝った昨年とは条件が違う。安易に昨年の再現を期待するのは、危険かもしれない。