08年のアルマダの2着以来、馬券に絡めていない香港馬。昨年はビューティーオンリー(6着)とコンテントメント(10着)が出走し、一昨年はコンテントメント(12着)、2014年はグロリアスデイズ(6着)という具合に、コンスタントに挑戦はしているものの結果を残せていないのが現状です。
今年は香港の名伯楽・J.サイズ厩舎からウエスタンエクスプレス(セ6)が来日。J.サイズ厩舎と言えばアルマダやコンテントメント、グロリアスデイズといった数々の香港馬を安田記念に送り込んできた安田記念の常連です。その頭数は今年のウエスタンエクスプレスを含めると述べ10頭にもなります。今年こそはと日本のマイル王座決定戦に堂々参戦してきました。
とは言え、サイズ師の安田記念の成績は【0-1-0-8】と不振気味。それでも参戦してくるのは時期的な要素と賞金額の高さが魅力となっているからでしょう。安田記念の1着賞金は1.1億で、香港G1のチャンピオンズマイルの1.3億円と比較しても十分魅力的な賞金額ですし、3~5着の額だけならチャンピオンズマイルよりも高いです。
ウエスタンエクスプレスは昨年は香港マイルで2着、前走のチャンピオンズマイルでも2着と香港のマイルG1路線で活躍を見せる期待のマイラーです。しかし、現地の香港では年末の香港国際競走まで参戦できる主要マイルG1がないため、時期的にも賞金額的にも日本の安田記念はちょうど良いのです。
人馬ともに初来日、日本の高速馬場適性は?輸送は大丈夫?
さて、今年参戦するウエスタンエクスプレスですが、陣営は常連でも馬は今回が初来日となります。鞍上は当初は短期免許で来日中のH.ボウマン騎手が騎乗予定でしたが、27日に行われた日本ダービーで騎乗停止処分を受けたことにより、オーストラリアのS.クリッパートン騎手に決定しました。同騎手は初来日となります。
クリッパートン騎手は昨年の香港マイル(2着)や前走のチャンピオンズマイル(2着)でも騎乗している騎手で、ウエスタンエクスプレスとは今回で5度目のコンビです。前走のチャンピオンズマイルでは外から好スタートを切るも内が出していくのを見てすぐに後方へ下げ、逃げたビューティージェネレーションがスローに落とす展開に。後方で脚を溜めて3~4コーナーで外から一気に進出し、直線序盤で2列目まで出すてしぶとく粘って2着に入選。逃げ切ったビューティージェネレーションには届きませんでしたが、序盤や3~4コーナーで見せた好騎乗があっての2着は好内容でした。
国内での実績があるボウマン騎手から乗り替わりということで、割り引き材料としたいところですが、レース内容やコンビ実績からも評価はそこまで下げる必要のない騎手にも思えます。高速馬場になりやすい今の東京の馬場が人馬ともに未経験というのは確かに不安ですが、今年の4月に行われた香港マイルG2のチェアマンズトロフィー(2着)では1分32秒9という速い時計で決着しており、例年の安田記念と比較しても遜色ないタイムです。陣営もさすがに日本の高速馬場への対応も分かっているでしょうし、侮りたくはありません。
昨年挑戦した香港馬2頭は実績的にはいずれもウエスタンエクスプレス以上でしたが、いずれも馬体重が大幅に減っており、輸送で失敗していたことが敗因の一つとして挙げられております。昨年の香港馬の輸送後のコメントを見ると、コンテントメントの陣営は「輸送で少し落とした」と述べており、ビューティーオンリーの陣営は「神経質なところもあり来日初日は少しナーバスでした」とコメントしております。来日直後から不穏な兆候が見え隠れしていた昨年と比べると、今年のウエスタンエクスプレス陣営は「輸送の影響はなく、馬体重も来日前とほぼ変わりません」と順調さを強調しており、現時点では好調維持といった様子です。
今回は実績的には昨年の馬よりやや落ちますが、輸送に失敗してなければ、マイル適性や高速馬場適性の高さからも十分買える一頭ではないかと考えます。